― “書くだけ”で終わらせない実務設計 ―
📌 なぜ「登記を見据える」必要があるのか
2024年から相続登記は義務化されました(民法および不動産登記法の改正)。
相続人は、相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。
つまり――
遺言書があっても、登記できなければ意味がない。
これが実務の現実です。
⚠ 登記で止まりやすい遺言書の典型例
| ❌ よくある記載 | 💥 実務で起こる問題 | ✔ 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 「自宅を長男に相続させる」 | 不動産の特定が不十分 | 登記事項証明書どおりに記載 |
| 「土地建物一式」 | 地番・家屋番号が不明確 | 地番・家屋番号まで明示 |
| 「預金その他一切の財産」 | 不動産が抜ける可能性 | 不動産を個別列挙 |
| 共有割合を曖昧に記載 | 持分登記不可 | 割合を明確に数値化 |
🏡 不動産は“登記簿どおり”が鉄則
実務では、固定資産税の納税通知書ベースで書いてしまうケースがよくあります。
しかし登記は、
「登記事項証明書の表示」=絶対基準
例:
× 千葉県〇〇市〇〇町1番地
○ 千葉県〇〇市〇〇町一丁目123番4
※「丁目」と「番」は全く別物です。
🔎 “相続させる”と“遺贈する”の違い
実務上重要なのが用語の選択です。
| 用語 | 対象 | 登記実務への影響 |
|---|---|---|
| 相続させる | 相続人 | 単独申請が可能なケースあり |
| 遺贈する | 相続人以外も可 | 原則共同申請 |
相続人に承継させる場合は
「相続させる」文言が基本です。
🧭 遺言執行者の指定はほぼ必須
登記を止めないためには、遺言執行者の指定が重要です。
指定がないと――
- 相続人全員の協力が必要
- 行方不明者がいると停止
- 音信不通で長期化
という事態も。
専門職を指定することで、実務は格段に安定します。
🧮 “共有にしない”という設計
実務上もっとも後悔が多いのがこれです。
とりあえず法定相続分で共有
共有は次の相続でさらに細分化し、
将来的な売却不能リスクを生みます。
可能であれば、
- 単独承継+代償金
- 不動産は一人、預金で調整
という設計が合理的です。
📚 まとめ:遺言書は「感情」と「登記」の両立
✔ 想いを反映させる
✔ 法的に有効
✔ 登記できる
✔ 将来の二次相続も見据える
ここまで考えて、はじめて
“使える遺言書”
になります。
💡 実務家としての視点
遺言書は「作ること」が目的ではありません。
相続手続きが完了することが目的です。
登記の現場を知っている専門家が関与することで、
将来のトラブル回避率は大きく変わります。
