🟩 「予備的遺言」とは?──“次の人”を指定しておく仕組み
「予備的遺言」とは、
第一の相続人が相続できない場合に備え、次の受取人(予備的受遺者)を指定しておく方法です。
例:
妻Aに自宅を相続させる。
妻Aが死亡しているときは、長男Bに相続させる。
このように書くことで、妻が先に亡くなっていたとしても、遺言の内容が自動的に“次の段階”に切り替わるのです。
まさに「2段階で安心」な遺言の形です。
🟨 【実例①】妻に全財産→妻が先に亡くなっても長男にスムーズ承継
| 状況 | 予備的遺言なし | 予備的遺言あり |
|---|---|---|
| 妻Aに全財産を相続させる(夫Bの遺言) | 妻が先に亡くなった場合、遺言はその部分が無効。子どもたちで再協議が必要。 | 「妻が亡くなっていたら長男Cへ」と書いておけば、自動的にCが承継できる。 |
🧩 ポイント
- 「遺言が無効になる」=家庭裁判所の手続きや遺産分割協議が必要になる。
- 予備的遺言があれば、相続が途切れずスムーズに次世代へ引き継げます。
🟦 【実例②】特定の財産を孫へ渡すケース──代替指定でトラブル防止
「長男に自宅を、孫に土地を渡したい」と考えていた方が、
実際の相続前に長男が亡くなってしまった場合…。
このとき、長男に関する指定部分は無効になります。
しかし、次のように予備的指定をしておけば安心です。
📝 記載例
長男Aに自宅を相続させる。
長男Aが死亡している場合は、その子B(孫)に相続させる。
これで、遺産が宙に浮くことなく次世代(孫)へ確実に承継されます。
📌 重要ポイント
- 「子が先に亡くなった場合に孫へ」などの指定は、現実によくあるケース。
- あらかじめ書いておくことで、代襲相続や協議の手間を防げる。
🟥 【実例③】事業承継でも有効──後継者が不在になるリスクを回避
家業を営んでいる方の中には、
「長男を後継者にする」と遺言に書く方が多いですが、
その長男が相続前に他界してしまうケースも少なくありません。
この場合、事業用財産(店舗・株式など)の承継先が不明になり、
経営の継続に支障をきたします。
💼 予備的遺言での記載例
長男Aに事業用資産一切を承継させる。
長男Aが死亡しているときは、次男Bに承継させる。
こうしておけば、事業が滞ることなく次の後継者にバトンタッチできます。
🧠 予備的遺言が有効な理由と注意点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 📘 法的根拠 | 民法第990条・第991条に基づき有効とされる(条件付遺言・代替指定) |
| 💡 効果 | 第一指定者が死亡・放棄した場合、自動的に次順位の指定者に効力が移る |
| ⚠️ 注意点 | 文言が曖昧だと「誰に渡すか」が不明になり、無効の恐れあり |
📎 アドバイス
専門家のチェックを受けながら、公正証書遺言で作成するのが最も安全です。
口語調やあいまいな表現は避けましょう。
🟩 まとめ:予備的遺言は「もしも」に備える家族の安心バトン
| 目的 | 効果 | おすすめ形式 |
|---|---|---|
| 第一指定者の死亡・放棄に備える | 遺言の無効や遺産分割のやり直しを防ぐ | 公正証書遺言 |
| 例:「妻→長男」など二段階指定 | 家族間トラブル防止・相続の簡略化 | 行政書士・公証人による確認推奨 |
🗝 結論:予備的遺言は“2段階の安心設計”。
万一の事態にも、遺言者の想いを確実に実現できます。
🏁 行政書士からのひとこと
予備的遺言は、実際の相談現場でも「もっと早く知っておけば…」と言われることが多い制度です。
単なる“形式”ではなく、家族の未来を守る設計図として、ぜひ取り入れてください。
立神法務事務所では、個別のご家族構成に合わせた最適な遺言書文案をご提案しています。
