📘目次

  1. NISA口座は「相続できない」ことを理解しよう
  2. 【ミス①】亡くなった後にそのまま取引してしまう
  3. 【ミス②】解約・売却のタイミングを誤る
  4. 【ミス③】非課税制度を引き継げると勘違いする
  5. 【ミス④】金融機関への連絡を怠る
  6. 【ミス⑤】税務申告・評価額の確認を忘れる
  7. まとめ:正しい流れを押さえて損を防ぐ

🏦1. NISA口座は「相続できない」ことを理解しよう

まず大前提として、NISA口座は相続によって引き継ぐことができません。
非課税のメリットは口座名義人本人のみに適用され、死亡した時点で非課税期間は終了します。

状況NISAの扱い対応
名義人が死亡非課税扱い終了一般口座へ移管される
相続人への引き継ぎ不可一般・特定口座で管理
相続税評価課税対象相続税申告に反映

👉 ポイント

  • 死亡した時点でNISAの「非課税メリット」は消滅。
  • 以降の取引・売却は課税扱いになる。

🚫2. 【ミス①】亡くなった後にそのまま取引してしまう

相続が発生したにも関わらず、故人のNISA口座で取引を続けるのはNG。
金融機関側で口座凍結が行われ、取引は一切できません。

❗やりがちな誤り

  • 家族がログインして売却操作をしてしまう
  • 相続人代表が“代理で”取引してしまう

これらは金融商品取引法違反不正アクセスに該当するおそれがあり、後に相続トラブルの火種になります。

💡正しい対応

  1. 金融機関へ死亡の連絡
  2. 必要書類(死亡証明書・戸籍謄本等)を提出
  3. 凍結解除後、相続手続き開始

💸3. 【ミス②】解約・売却のタイミングを誤る

NISA口座の資産は、死亡後一般口座に払い出されてから相続対象となります。
この際の売却タイミングを誤ると、課税額が増えるケースも。

タイミング税務上の扱いリスク
死亡前非課税(NISA適用)手続き上不可能
死亡直後(凍結前)違法・無効罰則の可能性
相続手続後一般口座で課税評価益が課税対象に

👉 アドバイス

  • 「名義人死亡後」は自動的に一般口座へ移る。
  • 相続人が換金・売却する際は譲渡所得課税が発生。

🧾4. 【ミス③】非課税制度を引き継げると勘違いする

「相続してもNISAの非課税枠を引き継げる」と思っている方が多いですが、制度上できません。

非課税枠はその人の名義に限られるため、相続人は新たに自分のNISA枠を使うしかありません。

よくある誤解実際の取扱い
故人のNISA枠を相続できる❌不可
保有株をそのまま非課税で引き継げる❌不可
一般口座に移された後、再びNISAに移せる❌不可(再購入が必要)

📞5. 【ミス④】金融機関への連絡を怠る

死亡後にすぐ金融機関へ連絡しないと、
📉 NISA口座が凍結されず、課税処理が遅延
📑 相続財産の評価額が不明確
💰 分割協議が長期化

になるおそれがあります。

👉 チェックリスト:連絡に必要な主な書類

書類名入手先備考
死亡証明書市区町村役場原本が必要
戸籍謄本本籍地の役所相続関係の確認
遺言書(ある場合)公正証書遺言など内容により指定あり
相続人代表届金融機関指定様式相続手続きの窓口指定

🧮6. 【ミス⑤】税務申告・評価額の確認を忘れる

NISAは「非課税制度」だったため、普段から税務申告をしていない方も多いですが、
相続が発生した場合には評価額の確認と申告が必須です。

確認項目内容注意点
相続税評価額死亡日時点の時価相場変動に注意
譲渡所得税相続人が売却した場合一般口座課税扱い
申告期限相続開始後10か月以内延滞税のリスクあり

✅7. まとめ:正しい流れを押さえて損を防ぐ

NISAの相続は「非課税口座が終了し、課税口座へ移る」特殊なケース。
ミスを避けるために、次の3点を必ず押さえておきましょう。

対応ポイント内容注意点
① 手続きの順番金融機関への連絡 → 凍結解除 → 相続手続書類漏れに注意
② 税金の扱い非課税→課税に切替評価額の把握が鍵
③ 専門家相談行政書士・税理士と連携早期対応がトラブル防止に
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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
立神法務事務所では、“相談しやすさ”を何より大切にしたサポートを心がけています。専門用語を並べるのではなく、「どうしてそうなるのか」がわかるよう背景や理由も交えて説明。
メリット・デメリットを丁寧にお伝えし、 お客様と一緒に、最適な方法を探していきます。

保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」