🌸 はじめに

NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、将来の資産形成に役立つ制度ですが、相続が発生すると扱いが非常に複雑になります。
とくに「非課税期間」「受取人の指定」「相続税の計算」など、一般の方には判断が難しいポイントが多いのが特徴です。

この記事では、
💡 行政書士が実際に相談を受けた経験 に基づき、
NISA・iDeCo相続で「専門家相談が必要となる3つのケース」を具体的に解説します。

🧭 目次

1️⃣ NISA口座に未売却の金融商品が残っているケース
2️⃣ iDeCoで受取人の指定がない、または不明なケース
3️⃣ 相続人が複数いて話し合いがまとまらないケース
📋 まとめ:専門家に早めに相談すべき理由

① NISA口座に未売却の金融商品が残っているケース

被相続人(亡くなった方)のNISA口座は、死亡した時点で非課税扱いが終了します。
そのため、金融商品(株式・投資信託など)が残っている場合、自動的に課税対象となり、相続人が一般口座や特定口座で引き継ぐ流れになります。

📊 処理の流れ(NISAの場合)

手続き項目内容注意点
① 口座凍結死亡の届出により口座が停止売却・購入が一時的にできなくなる
② 名義変更申請各証券会社に死亡届+戸籍謄本提出金融機関によって書式が異なる
③ 一般口座へ移行NISA非課税が解除される時価で評価され、譲渡益課税対象に
④ 売却・分配相続人の判断で処分可能税務上の扱いを確認する必要あり

📌 相談ポイント:

  • 「いつ売却するか」で課税額が変わる可能性あり
  • 売却時期・税金処理は専門家(行政書士・税理士)に確認を

② iDeCoで受取人の指定がない、または不明なケース

iDeCoは、原則として「指定受取人」 に死亡給付金が支払われます。
しかし指定がない場合、民法上の法定相続人が受取対象となり、手続きが煩雑になります。

⚠️ よくあるトラブル例

状況起こりうる問題対応策
受取人未指定誰が受け取るかで相続人間トラブル民法順序に従って配分(配偶者・子等)
指定受取人が先に死亡無効となり再指定が必要加入者本人の生前に見直しを
書類不備・相違金融機関で手続きが止まる戸籍等で関係証明が求められる

📌 相談ポイント:

  • iDeCoの受取には「死亡給付金請求書」等、複数の証明書類が必要。
  • 指定受取人が不明確な場合、行政書士が関係証明書類を整備することでスムーズな請求が可能になります。

③ 相続人が複数いて話し合いがまとまらないケース

NISA・iDeCoに関わらず、相続財産の一部として扱われるため、相続人全員の合意が必要です。
とくに資産評価が変動するNISA商品を含む場合、「今売るか」「後で売るか」で意見が分かれがちです。

💬 典型的なトラブルパターン

状況トラブル内容解決策
株式評価が高騰誰が利益を得るかで対立相続時点の評価額で公平分配を検討
iDeCo一時金の受取相続人の代表を誰にするかで揉める遺産分割協議書で明確化
口座解約が進まない手続きに必要な書類が足りない専門家が書類整理・連絡調整を代行

📌 相談ポイント:

  • 金融資産は金額が変動するため、相続時点での評価確定が重要。
  • 行政書士が「遺産分割協議書」「財産目録」を作成することで、公平な分配が実現できます。

📘 まとめ:専門家に早めに相談すべき理由

NISA・iDeCoはどちらも「税制優遇型制度」ですが、死亡後の扱いは非常に個別的です。

  • 相続税と所得税の関係
  • 金融機関ごとの取扱差
  • 書類提出の期限

こうした点を自己判断で進めると、課税漏れや手続きミスによる損失が起こりやすくなります。

👉 行政書士への早期相談が、手続きの混乱・トラブル回避の第一歩です。

💡 本記事のまとめ表

項目専門家相談が必要な理由対応のポイント
NISAに未売却商品がある非課税解除・課税処理が複雑売却時期・評価額を確認
iDeCo受取人が不明受取人確定に戸籍等が必要書類整備を行政書士が支援
相続人間で意見対立金融資産の分割調整が難しい遺産分割協議書を作成

🌿 終わりに

「NISAやiDeCoの相続」は、相続財産の中でも特に実務的な知識と正確な書類処理が求められる分野です。
行政書士として、相続人同士の橋渡しや、金融機関との連携支援が可能です。
トラブルになる前に、ぜひ早めのご相談をおすすめします。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
立神法務事務所では、“相談しやすさ”を何より大切にしたサポートを心がけています。専門用語を並べるのではなく、「どうしてそうなるのか」がわかるよう背景や理由も交えて説明。
メリット・デメリットを丁寧にお伝えし、 お客様と一緒に、最適な方法を探していきます。

保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」