🌟 はじめに:iDeCoは「相続できる」けれど注意が必要

iDeCo(イデコ)は、老後資金のための私的年金制度ですが、
加入者が亡くなった場合、積立金は「死亡一時金」として遺族に支払われます。
ただし、相続財産としてそのまま引き継ぐわけではなく、
受取人に指定された人が、年金資産を一時金として受け取る仕組みです。

👉 ここがポイント

  • iDeCoは「相続財産」ではなく「死亡給付金」扱い
  • 税金は「みなし相続財産」として扱われる
  • 手続き期限(原則3年)を過ぎると受け取れない場合も

📘iDeCo相続時の基本的な流れ

手続きステップ内容担当窓口注意点
① 死亡の届出iDeCo運営管理機関に死亡を届け出加入金融機関届出後、掛金の拠出停止・口座凍結
② 必要書類提出死亡診断書・戸籍謄本・受取人確認書類など同上受取人確認に時間を要することあり
③ 死亡給付金の支給決定指定受取人または遺族が決定iDeCo運営管理機関原則3年以内に請求が必要
④ 税金申告・受取完了税務上の扱いを確認税務署/税理士みなし相続財産として課税対象

🪜 iDeCo相続の4つの注意点

【注意点①】「指定受取人」を決めていないとトラブルに

iDeCoでは、生前に「死亡一時金受取人」を指定できます。
この指定がないと、配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母 → 兄弟姉妹
の順で遺族が受取人となります。

⚠️ 指定していない場合のリスク:

  • 受取人をめぐるトラブル発生
  • 相続人全員の同意が必要になるケースあり
  • 受取までに数か月〜半年以上かかることも

📎 対策:
加入時・運用中に、必ず「死亡給付金受取人指定書」を提出しておくことが大切です。

【注意点②】受取期限は「原則3年以内」

iDeCoの死亡給付金は、加入者の死亡から3年以内に請求しなければ受け取れません。
期限を過ぎると、給付金を受け取る権利が消滅してしまう恐れもあります。

💡 実務上の対応:

  • 死亡届提出後、早めに受取申請書を取り寄せる
  • 書類不備がないよう、行政書士や金融機関に確認を依頼

【注意点③】税金の扱いは「みなし相続財産」

iDeCoの死亡一時金は、税法上は「みなし相続財産」として扱われます。
つまり、相続税の課税対象ですが、生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を利用できます。

📊 税務比較表:

項目iDeCo死亡給付金通常の相続財産(預金・不動産など)
税区分相続税(みなし相続財産)相続税
非課税枠あり(生命保険金と同枠)なし
控除活用配偶者控除・基礎控除など可同様
所得税・住民税課税されない非課税(同様)

👉 ポイント:
「iDeCo死亡給付金」は所得税・住民税は非課税ですが、相続税がかかる可能性があります。

【注意点④】受取方法は「一時金のみ」

iDeCoの死亡給付金は、年金形式ではなく一時金として一括支給されます。
つまり、分割受取や継続運用はできません。

🧩 受取方法の特徴:

区分内容メリットデメリット
死亡一時金(iDeCo)一括で受取手続きが1回で完了分割・運用継続ができない
遺族年金(公的)分割で受取安定収入になる継続審査や所得制限あり

🏦 iDeCo相続の手続きフロー(全体イメージ)

死亡 → 金融機関へ届出 → 書類提出 → 受取人決定 → 死亡給付金支給 → 税務処理完了

📍スムーズに進めるためのチェックリスト:

  • 死亡診断書・戸籍謄本を準備
  • 受取人指定書があるか確認
  • 金融機関に必要書類を問い合わせ
  • 相続税の非課税枠を税理士に確認

🌿まとめ:iDeCoの死亡給付は「相続準備の一環」として見直しを

iDeCoの死亡給付金は、受取人指定・税金・手続き期限に注意が必要です。
相続対策としても重要なポイントなので、
生前に「受取人を指定しておく」「家族へ制度を共有しておく」ことがトラブル防止につながります。

💡 最後にもう一度まとめ:

✅ iDeCoは「死亡給付金」として受け取れる
✅ 手続きは3年以内に行う必要あり
✅ 税金は「みなし相続財産」として扱われる
✅ 指定受取人制度を活用しておくとスムーズ

万が一の際に備え、行政書士・税理士など専門家と連携しておくことで、確実かつ迅速な対応が可能です。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
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保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」