🌟 はじめに:NISA口座は「相続できない」

亡くなった方のNISA口座は、名義変更して引き継ぐことはできません。
金融機関への死亡届出後、非課税扱いが終了し、保有している株式や投資信託は「課税口座(一般口座または特定口座)」へ移されます。
ただし、手続きを怠ると売却や換金が進まず、相続全体の遅延につながることもあるため、早めの対応が大切です。

📘相続時のNISA口座の流れ(概要表)

手続きステップ内容対応する窓口注意点
① 死亡の届出亡くなったことを金融機関に報告取扱金融機関口座はこの時点で凍結される
② 残高・銘柄確認保有資産の一覧を取得金融機関/相続人代表者評価額は相続税の対象となる
③ 非課税扱いの終了NISA口座が閉鎖される同上相続時点で非課税期間は打ち切り
④ 一般口座・特定口座へ移管株式・投信を課税口座に移す金融機関名義人変更は不可、売却時課税対象
⑤ 相続手続き完了・分配相続人へ資産を分配相続人/行政書士・税理士等相続税や譲渡所得税の申告が必要な場合も

🪜 5つの具体的ステップで解説

【STEP①】死亡の届出を行う

まず、口座を開設している金融機関へ死亡の届出を行います。
この届出により、NISA口座は一時的に凍結され、入出金や売却はストップします。
届出には以下の書類が必要です。

📎 必要書類例:

  • 死亡診断書または除籍謄本
  • 相続人代表者の本人確認書類
  • 法定相続情報一覧図(または戸籍一式)

【STEP②】保有資産・残高を確認

次に、亡くなった方のNISA口座にある銘柄や残高の一覧を確認します。
金融機関に「残高証明書」の発行を依頼すれば、相続税申告の資料としても使えます。

💡ポイント:
相続時点の評価額(終値など)が相続税の課税対象額になります。

【STEP③】非課税期間の終了と口座閉鎖

NISAの最大の特徴である「非課税期間」は、被相続人の死亡時点で終了します。
したがって、NISAで保有していた投資信託や株式は、
そのまま課税口座(一般口座または特定口座)へ移管されます。

⚠️ 注意:

  • 「相続NISA」や「名義変更NISA」といった制度は存在しません。
  • 相続人が自分のNISAに移すこともできません。

【STEP④】一般口座または特定口座へ移管

金融機関は、被相続人の保有資産を一度「相続口座」に集約し、
その後、課税口座(特定口座または一般口座)へ移管します。

📌違いを簡単にまとめると:

項目特定口座一般口座
譲渡損益の計算金融機関が自動で計算自分で計算・申告が必要
年間取引報告書ありなし
確定申告原則不要(源泉徴収あり口座の場合)必要
向いている人手続きを簡単に済ませたい人税務申告に慣れている人

【STEP⑤】相続人ごとの分配・申告

最後に、相続人間での分配を行います。
資産の名義変更や売却は、全員の合意と必要書類がそろったあとで可能です。

💰 税務上の注意:

  • 相続時点の評価額をもとに相続税が発生する可能性あり。
  • 売却時には譲渡所得税が課税される場合も。

税務判断に迷う場合は、行政書士・税理士などの専門家に相談をおすすめします。

🌿まとめ:NISAは「非課税が終わる」点を忘れずに

NISA口座は、相続によって自動的に閉鎖され、
保有資産は課税口座へ移管されます。

👉 ポイントをおさらいすると:

✅ 名義変更による継承は不可
✅ 相続時点で非課税は終了
✅ 一般口座または特定口座へ移管
✅ 相続税・譲渡税の確認を忘れずに

相続が発生した際は、速やかに金融機関へ届け出を行い、残高証明書を取得しましょう。
トラブルを防ぐためにも、行政書士などの専門家と連携しながら進めるのが安心です。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
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保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」