「家族信託を組んだから、相続税の申告は不要になる?」
実は、この考え方は半分正解で半分間違いです。
家族信託は財産管理や承継の仕組みとして非常に便利ですが、相続税申告との関係を正しく理解しておかないと、税務リスクが発生することもあります。
ここでは、家族信託と相続税申告の関係を6つのポイントから徹底解説します。
1. 家族信託は「相続税をなくす仕組み」ではない
家族信託は所有権の移転ではなく管理・承継の仕組み。
そのため、信託を設定しただけでは課税関係は変わらず、相続税の課税対象資産としてカウントされます。
| 信託財産 | 相続税課税対象? | ポイント |
|---|---|---|
| 生前に信託した自宅 | ✅ 課税対象 | 受益者が死亡した時点の評価額で課税 |
| 賃貸アパート | ✅ 課税対象 | 家賃収入も受益者に帰属 |
| 預貯金 | ✅ 課税対象 | 信託財産として残っていれば課税 |
2. 受益者連続型信託では「二次相続対策」が可能
受益者を連続して指定することで、次の相続でも遺産分割を省略できるというメリットがあります。
ただし、相続税は各代の受益者死亡時点で都度発生します。
3. 信託財産の評価は「相続税評価額」で行う
不動産であれば路線価、預貯金であれば残高、株式であれば時価。
税務署は信託契約書をもとに、誰が経済的利益を持っていたかを判断して課税します。
4. 申告時には「信託計算書」の提出が必要
信託を設定した場合、相続税申告では次の資料を用意する必要があります。
| 必要書類 | 用途 |
|---|---|
| 信託契約書 | 誰が受益者かを確認 |
| 信託計算書 | 収益や残高を把握 |
| 信託口座の通帳コピー | 資産の状況を確認 |
5. 信託財産を申告から漏らすと追徴課税リスク
「信託財産だから申告不要」と誤解して申告しなかった場合、過少申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
6. 専門家への相談が必須
家族信託と相続税は制度が複雑に絡みます。
行政書士+税理士のダブルチェックで、抜け漏れなく申告することが重要です。
まとめ
- 家族信託をしても相続税はゼロにならない
- 受益者連続型信託で二次相続対策が可能
- 申告時は信託財産を含めた全資産を申告する必要あり
家族信託は資産承継をスムーズにする強力な仕組みですが、税務の視点を無視すると逆効果になる可能性も。
信託設定時から税理士・行政書士に相談しておくと安心です。
