✅ はじめに:「全員に継いでほしいわけじゃない」

「うちには子どもが3人いるが、正直言って継がせたくない子もいる…」
こんな悩みを抱える経営者は少なくありません。

✅ 仕事に対する姿勢が不安
✅ 金銭感覚がルーズ
✅ 家族や親族とトラブルが多い
✅ 会社に一切関わってこなかった

でも実際、“誰に継がせるか”と同じくらい、“誰に継がせないか”も大事な判断です。

この記事では、そうしたケースでの実務的・法律的な対応策をわかりやすく解説します。

⚠️ 継がせたくない子にも「相続する権利」はある

まず大前提として、親が亡くなれば、子には相続する権利(法定相続分)があります。

つまり、

📌 自社株を誰か1人に相続させたくても
📌 他の子どもたちに「何も渡さない」ことは基本的にできません

➡ 何も準備せずに相続が発生すると、“継がせたくない子”にも自社株が分散してしまうリスクがあるのです。

🔍 では、どうやって「継がせない」を実現するのか?

✅ 対応策①:遺言書で自社株を1人に集中させる

自社株のように「経営に直結する財産」は、特定の後継者に集中させるべきです。

➡ 遺言書で「全株式を○○に相続させる」と記載すれば、法的にその意思が優先されます。

ただし、他の子どもには遺留分(最低限の相続分)があるため、完全に“ゼロ”にすることはできません。

✅ 対応策②:他の相続人には代償金や別の財産を用意

自社株を特定の子に集中させた分、他の子には
✔ 預金や不動産
✔ 生命保険金
✔ 代償分割による現金支払い
などでバランスを取ることが大切です。

➡ 感情的な不満や争いを減らすには、公平感のある配慮が重要です。

✅ 対応策③:生前贈与で早めに整理しておく

「遺言で調整するより、生前に渡しておきたい」
そう思う方には生前贈与による自社株の承継も有効です。

・贈与税の対策が必要
・贈与契約書の作成が重要
・後継者教育を同時に進めやすい

➡ 将来のトラブルを防ぐには、早めの行動が何よりの保険になります。

✅ 対応策④:事業承継信託や株式譲渡契約を使う方法も

「株を一部持たせたいが、経営には口を出させたくない」
そんな場合には、以下の方法も検討に値します:

民事信託(家族信託):株の「所有」と「管理・運用」を分離できる
株式譲渡契約:経営に関与しない条件で譲渡

➡ 法的に関与を制限する手段を活用すれば、リスクを最小化できます

✋注意点:「継がせない」だけで終わらせない

どんなに思いがあっても、それが法律に基づいた手続きで表現されていなければ無効です。

また、感情的にこじれると
✔ 遺留分侵害請求
✔ 遺言無効の訴訟
など、かえって大きな争いを招くことも。

➡ 「継がせない意思」ほど、法的に丁寧に残すことが重要です。

✅ まとめ:「継がせない=悪ではない」でも戦略が必要

対応策概要注意点
遺言書の活用自社株を特定の子へ集中遺留分に配慮
代償分割他の子へ現金・不動産等を渡す事前準備が必要
生前贈与元気なうちに整理贈与税対策が必要
信託・契約活用経営権制限も可能専門家の関与が必須

📣最後にひとこと

「継がせたくない」と感じる理由には、経営者としての冷静な判断があるはず。
それを法的にしっかり形にして、家族全体が納得できる相続設計を目指しましょう。
専門家との連携が、後悔しない事業承継の鍵です。