✅ はじめに:「会社の相続」って何を引き継ぐの?

「社長が亡くなったら、その会社って相続の対象になるの?」
これは、中小企業の経営者やその家族から非常に多く寄せられる質問です。

結論から言えば――
🔹会社も「財産」になり得る
🔹事業も「相続対象」になることがある
というのが法律上の基本的な考え方です。

ただし、法人か個人事業か、株式の保有状況などによって、相続の形は大きく変わります。

📘1. 「会社=財産」なのか?法人と個人事業で違う!

🏢【法人(株式会社・合同会社など)の場合】

会社そのもの(=法人)は、法律上独立した人格(法人格)を持っています。
したがって、社長が亡くなっても会社は消滅しません。

では何が相続対象になるのかというと…

✅ 社長が持っていた「株式」や「出資持分」
✅ 会社からの貸付金や役員報酬の未払分

これらが個人の財産として相続されるのです。

➡ つまり、「会社=財産」ではなく、会社に関連する“権利”が相続財産になります。

🧾【個人事業主の場合】

個人事業主(たとえば「○○商店」など)の場合、
その事業そのものが個人名義です。

この場合、次のようなものはすべて相続財産となります:

✔ 店舗や工場、設備
✔ 売掛金や在庫
✔ 事業上の借入金(=負の財産)

➡ 個人事業主の「事業」は、まさに一体となった財産として引き継がれるのです。

⚖️2. では、「事業の中身」はどう扱う?

たとえば、飲食店を経営していた場合…

  • 店舗の賃貸契約は?
  • レシピやブランド名は?
  • 顧客との契約は?

こうした“事業の中身”も、基本的には相続財産に該当し得ますが、法律的にはケースバイケースです。

【例】
📌 店舗の契約:大家との契約内容による(承継可能か否か)
📌 ノウハウやレシピ:著作物性や契約による制限があるか
📌 顧客との継続契約:契約書の名義や条件次第

➡ 「事業全体をそのまま承継する」には、法的・実務的な整理が必要です。

⚠️3. よくある誤解と注意点

❌「会社=社長のもの」ではない

法人の場合、「会社の財産=社長個人の財産」ではありません。
会社の財産はあくまで会社のものです。相続できるのは社長の株式や持分だけです。

❌「後継者が会社を継ぐ=自動的に全権委任される」わけではない

株式の相続と、代表取締役の地位は別物です。
後継者に社長を継がせたいなら、
✔ 株式の集中
✔ 役員の選任手続き
✔ 遺言書などによる明確な意思表示
が必要です。

✅まとめ:相続されるのは「会社」ではなく「権利や財産」

項目法人の場合個人事業の場合
会社の存続継続(法人格あり)消滅または相続人が継続可
相続対象株式・貸付金など設備・売掛金・在庫・借金など事業全体
注意点株式の分配と経営権の整理が必要債務の承継に注意

会社は「財産」か?という問いには、
法人なら「株や権利が財産」
個人事業なら「事業全体が財産」
と整理して理解すると、実務や相続対策がとても進めやすくなります。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

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(特定行政書士・申請取次行政書士)
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行政手続法・行政不服審査法編」
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(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」