高齢化社会が進む現代では、認知症や病気などで判断力が低下したときの備えがますます重要になっています。
「万が一、自分が判断できなくなったらどうしよう…」
「家族に迷惑をかけたくない…」
そんな不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
実は、判断能力が失われてからでは、自分の意思で契約や資産管理をお願いすることはできません。
だからこそ、元気なうちに信頼できる人を「後見人」として選んでおく任意後見制度が注目されています。
■ 任意後見制度とは?
任意後見制度は、将来、判断能力が低下したときに備えて、元気なうちに「この人に手続きをお願いしたい」と契約で決めておける制度です。
本人の意志であらかじめ後見人を選ぶことができるため、法定後見制度(家庭裁判所が後見人を選ぶ)とは異なり、より柔軟で本人の希望を反映しやすいというメリットがあります。
■ どんなことを任せられるの?
任意後見人ができることは、以下のような事務手続きです。
- 預金の管理・引き出し
- 医療や介護サービスの契約
- 不動産の管理や処分(※契約内容により)
- 年金・保険などの手続き
※本人の意志が明確なうちに、契約書の内容を自由に決めることができます。
■ 任意後見制度の利用の流れ【5ステップ】
- 信頼できる相手を選ぶ
→ 子ども、親戚、専門家(行政書士・司法書士・弁護士)など。 - 公正証書で「任意後見契約」を締結
→ 公証役場で契約書を作成。将来に備えるための重要なステップです。 - 判断能力が低下したときに医師の診断書を取得
→ 医師による診断で「任意後見開始」の条件を満たしているかを判断。 - 家庭裁判所へ任意後見監督人の選任申立て
→ 開始には監督人の選任が必要。 - 任意後見契約の発効・支援開始
→ 以後、任意後見人が契約内容に沿ってサポートを行います。
■ 任意後見制度のメリット
✅ 自分の希望を反映できる(誰に何を任せるかを自分で決められる)
✅ 家族の精神的・経済的負担を軽減できる
✅ 認知症になっても、スムーズにサポートが始まる
✅ 将来のトラブルや相続対策にもつながる
■ 注意点・デメリットも知っておこう
- 契約後すぐには効力が発生しない(発効は判断能力低下後)
- 監督人の報酬が必要な場合がある
- 後見人に報酬を支払うことも考慮に入れる必要あり
- 契約内容は一度締結すると変更できない(再契約には再度費用と手続きが必要)
■ まとめ:任意後見は「元気なうちのやさしさ」
任意後見制度は、将来への「不安」を「安心」に変えるためのしくみです。
自分の思いを反映し、家族にも負担をかけずにすむよう、元気なうちからしっかり備えることが大切です。
もし少しでも興味を持たれた方は、行政書士や司法書士などの専門家に一度ご相談されることをおすすめします。