💣「財産なんてないから大丈夫」…その思い込みが危ない!

相続というと、

「資産家じゃないから、うちは揉めるような財産なんてない」
「うちの親は貯金もないし、遺産相続なんて関係ない」

と思っている方、実は要注意です。

遺産が“ゼロ”でも、相続トラブルはしっかり起きます。
それどころか、“借金”という「負の遺産」が原因で家族関係にヒビが入るケースも少なくありません。

今回は、「遺産ゼロ=トラブルゼロではない」という落とし穴について、
特に“借金相続”と“相続放棄”をめぐる実務上の注意点や、実際の分割協議の混乱例を中心にお話しします。

📉 プラスの財産がゼロでも「負の財産=借金」は残る!

人が亡くなると、その方の財産は原則としてすべて相続人に引き継がれます
この“すべて”には、現金や土地といったプラスの財産だけでなく、

  • カードローン
  • 医療費の未払い
  • 税金や公共料金の滞納
  • 保証人としての債務

といったマイナスの財産(=借金)も含まれるんです。

つまり、「財産がない=相続しなくていい」ではないということ。

💥 借金相続をめぐる3つのリアルトラブル事例

① 誰かが勝手に支払ってしまった

たとえば、父親が亡くなった後、
長男が「家族に迷惑かけたくない」と借金を返済してしまった場合
それは「単純承認」と見なされ、相続放棄ができなくなります

他の兄弟が「じゃあ俺は放棄する」と言っても、
長男がすでに借金を支払ってしまっていたら…その負担は長男ひとりに。

🔻 結果
「なんで俺だけこんな目に…」と、兄弟間の関係が悪化するパターン。

② 相続放棄の期限を過ぎてしまった

相続放棄には“相続開始を知ってから3か月以内”という期限があります。

でも、その間に

  • 誰が借金の詳細を把握するか
  • 財産は本当にないのか調査が必要
  • 親族間で話がまとまらない

とバタバタしているうちに期限が切れてしまい、全員が相続人として借金を背負う羽目に…。

🔻 結果
「そっちが遅いからこうなったじゃない!」と、責任のなすり合いに

③ 一部の人だけが相続放棄して不公平に

相続人の中には、さっさと相続放棄した人もいれば、
「何かプラスの財産が出てくるかも」と様子見していた人も。

いざ蓋を開けてみたら借金だけが残っていて、
結果として放棄しなかった人だけに借金の請求がくるというケースもあります。

🔻 結果
「ずるい!」「なんで私だけが!」と、不信感が爆発。

🧠 相続放棄するかどうかは“判断のタイミング”がすべて

相続放棄は、原則として一度しかできません。
だからこそ、以下のようなことをしっかり確認してから判断する必要があります。

✅ 相続財産の調査を丁寧に

・銀行口座
・借用書や督促状
・カードやローン契約書
・税金の通知書類

これらを可能な限り洗い出して「プラスかマイナスか」を判断します。

✅ 家族間で「放棄する人・しない人」をすり合わせる

人によって考え方が違うので、感情のズレや「誰が負担するのか問題」が起きやすい部分です。
放棄した人に「責任逃れだ」と言ってしまうと関係悪化の元になるので注意。

✅ 放棄の手続きは“家庭裁判所”で正式に

放棄は「口約束」では無効です。
家庭裁判所に申述書を提出して初めて法的に効力が生まれます。
(※勝手に借金を返したらNG)

🛡 借金相続トラブルを防ぐための具体策

  1. 死亡後すぐに財産と債務をリストアップ
  2. 相続人全員で状況を共有(LINEやメモなど残す)
  3. 必要があれば専門家(行政書士・弁護士など)に相談
  4. 放棄手続きは期限内に、全員がスケジュール感を共有

📌 まとめ:相続は“財産がある人だけの話”ではない

「遺産がないから関係ない」
そう思っていたら、思わぬ借金相続で大混乱なんてことも。

借金こそ、分割のしようがなく、かつ感情的にも揉めやすい要素です。
トラブルを防ぐためには、

  • 財産調査の丁寧さ
  • 家族間の事前共有
  • 相続放棄の正しい判断と手続き

がカギになります。

💬 「プラスがないからこそ、負の財産で慎重に」
この視点をもって、揉めない相続を実現しましょう。