相続や遺産分割の話になると、「親族間の仲が悪くて…」「相続財産が少ないから…」といった従来型のトラブルを思い浮かべる方が多いかもしれません。
ですが、最近では“家族LINE”やSNSのやり取りが原因でトラブルに発展するケースも増えているのをご存知でしょうか?
この記事では、SNS時代ならではの相続トラブルの兆しと対処法を、行政書士の視点からわかりやすく解説します。
遺産分割は「言葉の行き違い」から崩れることがある
相続人同士のやり取りがLINEグループやチャットで行われることは、今や珍しくありません。
しかし、この便利なツールが、遺産分割トラブルの火種になることもあります。
✔ こんなメッセージが“地雷”になる
- 「●●(長男)だけ得してない?」
- 「私はお父さんの介護をしてきたのに、感謝もされないの?」
- 「財産ってそもそも何があるの?ちゃんと開示してよ」
こうした一言一言が“攻撃”と受け取られたり、感情的な返信を誘発してしまうことも。
文字は口頭と違って“ニュアンス”が伝わりづらいため、誤解や不信感がどんどん積み重なってしまうのです。
「既読スルー」が遺産分割協議を壊す?
LINEやメールで協議を進める際に、よくあるのが「既読無視」や「返信が遅いこと」による不信感の増大です。
■ 既読無視=協議拒否と勘違いされる?
「こっちはちゃんと読んでるのに、なんで無視されてるの?」
「返信しない=自分勝手に進めようとしてる?」
こうした“読み手の感情”の暴走が、実際の協議に影を落とします。
ときには「話し合いが平行線になり、家庭裁判所での調停に発展した」というケースも。
相続トラブルを避けるSNS活用のコツ
それでは、こうしたSNS時代のトラブルを未然に防ぐには、どんな工夫が必要なのでしょうか?
✅ SNS・LINEでの相続協議で気をつけたいポイント
- 言葉づかいに配慮する
→ 冷静で丁寧な文章を意識。感情的な表現は避けましょう。 - 誤解を招きやすい内容は電話や対面で
→ 難しい話は“文章”より“声”で伝える方が安全。 - グループチャットではなく、個別に話を進める場面も大切
→ 一括送信よりも、信頼関係を築くやりとりが有効。 - 記録として残す意識も大切
→ 相手を非難するのではなく、「証拠」として冷静に記録しておくのは〇。
専門家を早めに挟むのが“争族”回避の近道
LINEやSNSで意見が食い違いそうになったとき、相続人だけで解決しようとすると、かえってこじれる可能性があります。
そんなときは、行政書士などの専門家を“第三者の視点”として早い段階で挟むことが重要です。
特に「遺産分割協議書の作成」や「相続人間の整理役」として、冷静な仲介ができる存在がいれば、余計な感情のもつれを防げます。
まとめ:SNS時代だからこそ、心の配慮とプロの手を
便利なLINEやSNSも、使い方次第で遺産分割の協議を円滑に進めるツールになります。
ですが、少しの誤解や感情的なやり取りが、思いもよらない相続トラブルのきっかけになることも。
- 言葉選びに気をつける
- 難しい話は文字だけにしない
- 早めに専門家に相談する
この3つを意識することで、“争族”ではなく“円満な相続”へとつながります。
相続や遺産分割のご相談は、ぜひお気軽にご連絡ください。