🔍「とりあえず配偶者が全部相続」で本当に大丈夫?
相続の場面では、つい目の前のことだけに目がいきがちです。
「お母さんが全部相続した方が相続税もかからないし、丸くおさまるよね」
──そう思って進めた遺産分割が、二次相続の時に“地雷”となって跳ね返ってくるケースは少なくありません。
そこでこの記事では、行政書士が実際の相談現場で行っている「二次相続シミュレーション」のやり方と、
その結果を踏まえた遺産分割協議のコツをご紹介します。
🧭 二次相続シミュレーションとは?
相続は1回で終わりません。
- 一次相続(最初に亡くなった親)
- 二次相続(その後に亡くなるもう一人の親)
この2回を通して財産や相続人がどう変化し、
最終的に誰がどれくらいの税金・負担・責任を持つのか、
先回りして予測・設計するのが「二次相続シミュレーション」です。
📊 行政書士が行う“二次相続シミュレーション”の基本ステップ
ステップ | 内容 | ポイント |
---|---|---|
① 財産の洗い出し | 不動産・預金・有価証券・保険など | 「現金化のしやすさ」もチェック |
② 一次相続の分割案を作る | 誰がどの財産をどの割合で相続? | 配偶者の税額軽減も考慮 |
③ 二次相続の時期・相続人の構成を予測 | 残される財産と、法定相続人の変化 | 配偶者亡き後は基礎控除が減る点に注意 |
④ 二次相続での税額シミュレーション | 税率表と控除制度を用いて計算 | 小規模宅地などの特例も反映 |
⑤ 最適な分割シナリオを検討 | 兄弟間の公平性や納税資金の準備も考慮 | 将来の揉めごとを予防する視点が大切 |
📉【事例】一次相続で配偶者に全額 → 二次相続で税額激増!
項目 | 内容 |
---|---|
一次相続(父死亡) | 配偶者が全財産を相続(相続税0円) |
二次相続(母死亡) | 相続財産8000万円、子2人が相続 |
相続税 | 約1000万円以上…一括納付できず困惑 |
👉一次相続で子に少しでも相続させていれば、基礎控除がフルに活用できて、税額を大きく抑えられた可能性も…。
🛠️ 実際にどう備える?遺産分割協議での活かし方
✔ 1. “一次と二次”をセットで考える
一次相続の場面で**「今だけ得」ではなく「トータルで得」かどうか**を判断するのが重要です。
- 子にも少し分けておく
- 住まいは配偶者へ、現金は分散など
このように複数の選択肢を比較しながら協議を進めるのがベストです。
✔ 2. 配偶者が認知症になる前にシミュレーションを
遺産分割の見直しや信託の設定は、意思判断能力があるうちしかできません。
特に高齢の配偶者がいる場合は、できるだけ早く、行政書士など専門家と一緒に見通しを立てることをおすすめします。
✔ 3. 「相続税」だけでなく「人間関係」も設計する
財産をどう分けるか以上に、兄弟が納得しているか・感情的に不満がないかもとても大切。
行政書士の立場から見ても、「不公平感」が残ったままの分割は10年後でも揉めます。
🧾 よくある質問
Q. 行政書士は相続税の試算もしてくれるの?
→ はい、基本的なシミュレーションは行います。
ただし、具体的な税務申告は税理士と連携して進めます。
Q. シミュレーションはいつ相談すべき?
→ 被相続人がご存命のうちが理想。
でも、一次相続後すぐでも、二次相続を見据えた設計は可能です。
💬 まとめ
- 遺産分割は「今」だけでなく「次」まで見て設計しよう
- 行政書士によるシミュレーションで、税金・家族関係の“落とし穴”を防げる
- 二次相続の備えが、一次相続のときこそ重要!
👉 早めの対策が、後悔のない相続への第一歩
「うちはまだ大丈夫」と思っていても、
実際のご相談では「もっと早く相談すればよかった」という声が8割です。
二次相続の不安が少しでもあれば、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。