「相続時精算課税制度」は、生前贈与と相続を組み合わせて活用できる仕組みです。ただし、全てのケースで有利になるわけではなく、正しい活用方法を知ることが重要です。本記事では、この制度を活用すべき具体的な3つのケースをわかりやすく解説します。
相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度とは、60歳以上の親や祖父母から20歳以上の子や孫に対して行う贈与を対象とした制度です。2,500万円までの贈与は非課税ですが、相続時にその贈与額を相続財産に加算して課税額を計算します。
ポイント:
- 2,500万円を超える部分は一律20%の贈与税が発生。
- 制度を一度選択すると、その年以降は他の贈与非課税枠(年間110万円)が使えなくなります。
相続時精算課税制度を使うべき3つのケース
1. 価値が上がる可能性のある財産を贈与する場合
不動産や株式など、将来的に価値が上がる可能性が高い財産を早めに贈与することで、相続時の課税対象額を抑えることができます。
例:
- 現在価値:1,000万円の土地
- 20年後:2,000万円に値上がり
贈与時に相続時精算課税を適用すれば、1,000万円の評価額で課税対象に含められるため、節税効果が期待できます。
2. 早めに資産を移転して相続トラブルを防ぎたい場合
相続時精算課税制度を利用して財産を計画的に移転することで、親族間の相続トラブルを防ぐことができます。特に、不動産の分割や家業の承継において有効です。
例:
- 家業に関わる不動産や資産を後継者に集中して贈与。
- 他の家族にも現金を贈与してバランスを取る。
これにより、遺産分割協議がスムーズに進みます。
3. 親が高齢になり、認知症リスクが高まる場合
親が高齢で判断能力が低下すると、贈与や遺産分割の手続きが難しくなります。そのため、相続時精算課税を活用して早めに財産を移転しておくことが重要です。
メリット:
- 財産を計画的に移転し、成年後見制度を利用せずに済む可能性が高まる。
- 子や孫が財産をすぐに活用できる。
相続時精算課税制度のメリットとデメリット
項目 | メリット | デメリット |
---|---|---|
課税枠の活用 | 2,500万円まで非課税で大きな贈与が可能 | 2,500万円を超える部分に20%の贈与税が課税 |
財産移転の計画性 | 早めの財産移転で相続トラブルを防止 | 制度選択後は110万円の非課税枠が利用不可 |
将来の節税効果 | 財産の値上がりを抑えて相続税を削減 | 将来の相続税額が増える可能性がある |
まとめ:制度の選択には慎重な判断が必要
相続時精算課税制度は、上手に活用すれば大きな節税効果を得られる便利な仕組みです。ただし、すべてのケースで有利になるわけではなく、贈与する財産や家族構成によって向き不向きがあります。
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