資産形成や相続対策を考える上で、iDeCo(個人型確定拠出年金)と家族信託はどちらも注目されています。ただし、目的や仕組み、メリットは大きく異なります。本記事では、iDeCoと家族信託の違いを7つのポイントに分けて解説し、どちらがあなたの将来設計に合っているのかを明確にします。

1. 目的の違い:資産形成 vs 資産保全

  • iDeCo:老後資金を自分で積み立てて運用する「資産形成」が主な目的です。
  • 家族信託:自分の意思が反映されるよう、資産を管理・運用する「資産保全」が目的です。
比較項目iDeCo家族信託
主な目的老後資金の積立・運用資産管理・相続対策

💡 ポイント:将来のために「増やしたい」のか、「守りたい」のかで選択肢が変わります。

2. 対象となる資産の違い

  • iDeCo:運用対象は金融商品(株式、投資信託、債券など)に限定されています。
  • 家族信託:現金、不動産、有価証券など幅広い資産が対象です。
資産の対象iDeCo(例)家族信託(例)
金融商品投資信託、株式適用可能
不動産適用外管理や運用が可能

3. 税制面での違い

  • iDeCo:掛金が全額所得控除になるため、節税効果が期待できます。また、運用益も非課税です。
  • 家族信託:直接の節税効果はありませんが、相続税の対策や二次相続対策として有効です。
税制メリットiDeCo家族信託
掛金控除ありなし
運用益非課税あり適用なし(運用ではないため)
相続税対策関連しない有効(遺産分割トラブルの防止に役立つ)

4. 利用できる人の違い

  • iDeCo:20歳以上65歳未満で、働いて所得がある人が対象です。
  • 家族信託:制限はなく、誰でも利用可能です。特に、高齢者や認知症リスクがある方に適しています。

5. 資金の引き出し自由度

  • iDeCo:原則60歳まで引き出し不可。老後資金を計画的に守る仕組みです。
  • 家族信託:信託内容に応じて、必要な時に資金を引き出すことが可能です。

6. 契約・手続きの複雑さ

  • iDeCo:金融機関で手続きが可能。比較的シンプル。
  • 家族信託:契約書の作成や専門家(弁護士・司法書士など)との相談が必要で複雑です。
手続きの難易度iDeCo家族信託
難易度低い高い(専門家の支援が必要)

7. 老後以降のメリット

  • iDeCo:老後資金として役立つのみ。
  • 家族信託:認知症や相続の場面で活躍。家族が資産をスムーズに管理できます。

【結論】どちらを選ぶべきか?

  • iDeCoがおすすめの人
    • 老後資金を増やしたい。
    • 節税をしながら資産形成をしたい。
  • 家族信託がおすすめの人
    • 認知症リスクに備えたい。
    • 相続のトラブルを防ぎたい。

💡 どちらも必要に応じて併用が可能です。専門家に相談して、自分に合った選択をしましょう!