相続が発生すると、遺産の分配方法を決める「遺産分割協議」が行われます。財産に不動産や現金だけでなく、株式が含まれている場合、協議は一層複雑化します。株式は金融資産であり、価値の変動や評価の難しさが伴うため、相続人間での意見の相違が生じやすいものです。ここで、行政書士が果たす役割が重要になってきます。この記事では、株式相続時における遺産分割協議の流れや行政書士のサポートについて、具体例を交えながら解説します。

1. 株式相続で遺産分割協議が複雑化する理由

株式は現金や不動産と違い、その評価が一定ではありません。株式の評価は市場価格に左右され、相続時点と遺産分割協議時点で価値が大きく変動することがあります。この変動によって、相続人同士の公平な分配が難しくなる場合があります。

例えば、A相続人が特定の株式を相続した場合、その株式の評価が相続時点では低く、後に急上昇した場合、不公平感が生まれる可能性があります。こうした不安を解消するためには、行政書士が適切に評価方法や分配ルールの設定をサポートする必要があります。

2. 株式の評価方法とその公平性をどう確保するか

株式相続において、まず重要なのは「評価」です。証券会社が発行する株式の評価証明書を用いて市場価値を算出するのが一般的ですが、評価時点の選定によって相続人間で不公平が生じる可能性があります。そのため、行政書士は以下のような点でサポートします。

  • 評価基準の明確化: 相続人全員が納得できるよう、株式の評価時点や評価基準を明確に設定します。
  • 遺産分割協議書の作成: 相続人間で合意した内容を法的に有効な形で書面化します。行政書士が作成する遺産分割協議書は、後々のトラブルを防ぐためにも極めて重要です。

特に、株価の変動が激しい株式を相続する場合、その分配が難航することがあります。この場合、行政書士は、株式の分配方法を柔軟に提案することが求められます。例えば、株式そのものを相続する代わりに、他の財産とのバランスを取るための「代償分割」を提案することがあります。

3. 行政書士がサポートする具体的な手続き例

株式相続を円滑に進めるため、行政書士が行う具体的なサポートには以下のようなものがあります。

  • 遺産分割協議書の作成: 相続人全員の同意を得た上で、法的に有効な協議書を作成します。この協議書がなければ、証券会社への株式の名義変更手続きは進められません。行政書士は、この書類作成を専門的に行い、正確かつスムーズに進行できるようサポートします。
  • 株式評価の手配: 証券会社からの株式評価証明書の取得を代行し、評価額を基に相続人全員が納得できる分割案を提示します。また、複数の証券がある場合、その価値を総合的に判断し、最適な分割方法を提案します。
  • 代償分割の提案: 株式を現金に換えて分割する「換価分割」や、株式を相続する代わりに他の相続人に現金を支払う「代償分割」など、相続人間の公平を保つための柔軟な方法を提案します。

4. 株式相続におけるトラブル回避のために行政書士ができること

株式相続は、特に兄弟間や親族間での意見の対立が生じやすい場面です。そのため、行政書士が早い段階から関与し、トラブルを未然に防ぐための助言を行うことが重要です。

  • 中立的な立場での調整: 行政書士は中立的な立場で相続人全員に対し、公平なアドバイスを行うことができます。この立場を活かして、感情的な対立を和らげる役割を果たします。
  • 法的トラブル回避のための書類整備: 法的トラブルを防ぐためには、書類が適切に整備されていることが重要です。特に、遺産分割協議書における株式分配の内容が不備であると、後々の法的紛争の原因となりかねません。行政書士はこの点でのリスクを最小限に抑えます。

まとめ: 株式相続時の行政書士の重要性

株式相続において、評価方法や分配の公平性を確保することは非常に難しい作業です。しかし、行政書士の専門的なサポートを活用することで、遺産分割協議を円滑に進めることが可能になります。適切な書類作成や公平な評価基準の設定を通じて、相続人全員が納得できる解決策を導くのが行政書士の役割です。

株式を含む相続の際には、ぜひ行政書士に相談し、トラブルを回避しながらスムーズな相続手続きを進めましょう。