認知症患者数の現状と予測

認知症患者数は年々増加しています。平成22年のデータでは約439万人が認知症を患い、2025年には65歳以上の約675万人、つまり高齢者の約5.4人に1人が認知症になると推測されています。さらに、日常生活には支障がないものの物忘れなどが目立つ軽度認知障(MCI)の方も多く、財産管理が課題となるケースが増えています。

認知症と財産管理の問題

認知症になると、本人の意思能力が欠如するため、法律行為(売買や贈与など)が単独でできなくなります。このため、以下のような問題が発生することがあります。

問題点具体例
毎月の支出管理が難しくなる老人ホーム費用や生活費の支払いが滞る
不動産の運用ができない投資用不動産の売却や賃貸契約の管理が困難
財産の活用・承継がスムーズに進まない適切なタイミングでの財産移転ができない

こうした状況に備えるための解決策が家族信託です。

家族信託とは?

家族信託は、自分の資産(不動産や預貯金など)を信頼できる家族に託し、財産の管理や処分を任せる制度です。信託財産として分離管理されることで、財産管理がスムーズに進みます。

家族信託の仕組み

役割概要
委託者財産を託す人(例:認知症になる可能性のある親)
受託者財産を管理する人(例:信頼できる子ども)
受益者財産の利益を受ける人(例:委託者自身)

信託の特徴は、財産を信託財産として分離し、受託者が管理・運用を行う点です。この仕組みにより、認知症発症後も柔軟な財産管理が可能になります。

家族信託の活用例

以下は、家族信託の一般的な活用例です。

事例:認知症予防対策としての信託

軽度認知障害(MCI)の兆候が見られるAさん(70歳)は、将来に備えて信託を設定しました。長男を受託者に指定し、不動産や預貯金の管理を任せ、老人ホームの入居費用や生活費を計画的に支出する仕組みを構築しました。

家族信託のメリットと注意点

メリット注意点
認知症発症後も柔軟な財産管理が可能信託契約の作成には専門的な知識が必要
相続トラブルの回避が期待できる手続き費用が発生する場合がある
財産を家族内で管理できる安心感が得られる信託後の運用状況を定期的に確認する必要がある

まとめ:早めの準備で安心の老後を実現

認知症時代において、家族信託は財産管理の強力なツールです。特に、認知症発症前の早期対策として有効で、本人や家族に安心をもたらします。
家族信託について詳しく知りたい方は、専門家に相談し、自分に合った信託設計を始めてみましょう。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

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保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」