遺産分割協議書は、相続トラブルを防ぐためにとても重要な書類です。しかし、正しく作成しなければ、後々大きな問題が発生してしまうことも…。

実際に「せっかく作ったのに無効になった」「家族が揉めてしまった」などの失敗事例も数多くあります。

この記事では、遺産分割協議書でよくある5つの失敗事例と、その回避策を分かりやすく解説します!

この記事を読むとわかること

  • よくある5つの失敗事例
  • 失敗を防ぐための対策
  • 安心できる遺産分割協議書の作成ポイント

大切な家族のためにも、落とし穴を避けて確実に有効な遺産分割協議書を作りましょう!

1. 相続人全員の合意が取れていない

失敗事例

父が亡くなり、長男と次男で話し合いを進めました。しかし、疎遠になっていた三男には何も相談せず、長男と次男だけで遺産分割協議書を作成・署名。
後日、三男が「そんな話は聞いていない!」と反発し、協議書が無効に…。

回避策

  • 相続人全員を事前に確定する(戸籍謄本を取得)
  • 全員が納得した上で署名・押印する
  • 連絡が取れない相続人がいる場合は、専門家に相談する
ポイントやるべきこと
相続人の確定戸籍謄本を取得し、漏れがないか確認
合意形成相続人全員と話し合い、意向を確認
署名・押印全員が署名し、実印を押す(印鑑証明書添付)

2. 書き方が曖昧で無効になる

失敗事例

遺産分割協議書に「父の預金は長男が相続する」と記載。しかし、どこの銀行のどの口座なのか明記されておらず、銀行の手続きができなかった…。

回避策

  • 具体的な財産情報を記載する(銀行名、支店名、口座番号、不動産の地番など)
  • 抽象的な表現を避ける(「自宅」→「○○市○○町○丁目○番地の土地および建物」)
  • 税務上の影響も考慮する(評価額の記載など)
ダメな例(NG)正しい例(OK)
「父の預金を長男が相続する」「○○銀行○○支店、口座番号123456の預金500万円を長男●●が相続する」
「家は母がもらう」「○○市○○町○丁目○番地の不動産(登記簿記載の土地・建物)を母●●が相続する」

3. 印鑑が認印で無効になる

失敗事例

相続人全員が遺産分割協議書に署名・押印。しかし、長男が認印を押してしまい、銀行の相続手続きが進まなかった…。

回避策

  • 実印で押印する(シャチハタは絶対NG)
  • 印鑑証明書を添付する(発行から3か月以内)
  • コピーではなく原本を提出する
ダメな例(NG)正しい例(OK)
認印で押印実印で押印
印鑑証明書なし印鑑証明書(3か月以内)を添付
コピーを提出原本を提出

4. 遺留分を無視して争いに発展

失敗事例

長男が「すべての財産を相続する」と記載。しかし、他の兄弟が遺留分侵害額請求をして大きなトラブルに…。

回避策

  • 相続人の遺留分を事前に確認する
  • 遺留分を考慮した遺産分割にする
  • どうしても不公平になる場合は、遺留分の放棄を検討する(家庭裁判所の手続きが必要)
相続人の組み合わせ遺留分の割合
配偶者+子ども(2人)配偶者:1/4、子ども:各1/8
子ども(2人)各1/4
兄弟姉妹のみなし(遺留分なし)

5. 二次相続を考慮せず相続税が増加

失敗事例

父が亡くなり、母がすべての財産を相続。数年後、母が亡くなった際に、子どもたちが高額な相続税を支払うことに…。

回避策

  • 二次相続の税負担を考えて財産を分ける
  • 配偶者控除を使いつつ、子どもにも分割する
  • 生前贈与などの対策を検討する
対策の例メリット
子どもにも一部を相続させる二次相続の税負担を軽減できる
生前贈与を活用贈与税の基礎控除を活用できる
生命保険を活用非課税枠を使える

まとめ|遺産分割協議書の5つの落とし穴を避けて安心相続を!

遺産分割協議書は、正しく作成しないと無効になったり、トラブルの原因になったりすることがあります。

✅ 5つの落とし穴と回避策

  1. 相続人全員の合意がない → 戸籍確認&全員の署名・押印必須
  2. 書き方が曖昧 → 具体的な財産内容を明記
  3. 認印を使って無効 → 実印+印鑑証明書を添付
  4. 遺留分を考慮せずトラブル → 遺留分を考えた分割に
  5. 二次相続を考えず税負担増 → 税対策を検討

「うちのケースではどうすればいい?」と不安な方は、専門家に相談するのもおすすめです。
大切な遺産を円満に分けるために、しっかり準備しましょう!