🌸 はじめに

「長男だから多くもらうのが当然」
「実家を継ぐのは長男の役目」

昔の日本では当たり前だったこの考え方。
しかし現代の相続では、“長男優先”の考え方がトラブルの火種になるケースが増えています。

この記事では、古い価値観と現代の相続制度のギャップを解説し、
「公平な相続」とは何か?どう実現すればよいのか?を、専門家の視点でわかりやすく紹介します。

🧭 「長男だから多くもらう」は法律的には関係ない

実は、民法には「長男が多く相続できる」というルールは一切ありません。
すべての相続人は“法定相続分”に基づいて平等に財産を受け取る権利を持ちます。

📘 法定相続分の基本

相続人の組み合わせ法定相続分備考
配偶者と子ども配偶者 1/2 / 子ども全員で 1/2子ども同士は人数で均等割り
子どものみ子ども全員で均等割り長男・次男の差なし
配偶者と親配偶者 2/3 / 親 1/3親の数で均等割り

👉 つまり「長男だから多い」は“慣習”であり、法律上は根拠がありません。

⚠️ “長男優先”が生むトラブルの現実

古い価値観のまま話を進めてしまうと、
以下のような相続トラブルが起きやすくなります。

トラブル例内容
💥 不公平感「兄ばかり優遇されて納得できない」と次男・長女が不満
🏠 実家の扱い「長男が実家を継ぐ」と決めたのに、維持費を誰が払うかで揉める
💸 親の介護負担面倒を見ていない兄弟が多くもらって不満が爆発

特に近年は「同居していない長男」と「介護を担った次女」など、
実際の貢献度と遺産分割が一致しないケースが増えています。

💡 “公平”とは「平等」ではない

ここで知っておきたいのが、
「公平=平等」ではないということ。

遺産の分け方は「全員が納得できるかどうか」が最も大切です。
金額の“平等”ではなく、感情や貢献度も考慮した分け方が求められます。

⚖️ 公平な分け方を考える3つの視点

視点内容
① 貢献度介護や生前の支援を考慮する(寄与分)
② 必要性経済状況や生活環境の差を考慮
③ 納得感全員が話し合い、理解できる説明を持つこと

💬 つまり、「法的に正しい」だけではなく、「家族として納得できる」相続を目指すことが重要です。

🏡 実家の相続は“感情の整理”から始める

特に「実家を誰が継ぐか」は、多くの家庭で揉めるテーマ。
長男が相続するケースが多いですが、
“維持できるかどうか”や“他の兄弟の気持ち”を考えることが大切です。

🧾 実家相続でのトラブル回避ポイント

ポイント解説
① 早めに話し合う親が元気なうちに家族全員で方向性を共有
② 遺言書で意思を明確に誰に何を残すかをはっきり示す
③ 不動産の評価を確認固定資産評価額と実勢価格に差が出ることも

“実家”は思い出が詰まっている分、感情が絡みやすいもの。
だからこそ「長男だから」ではなく「家族全員で納得する形」を作ることが鍵です。

🌿 まとめ|“血縁の序列”より“家族の合意”

  • 民法上、「長男が多く相続できる」ルールは存在しない
  • 公平とは「全員が納得する形」で分けること
  • 実家相続は“早めの対話”と“明確な遺言書”が重要

「昔はこうだったから」ではなく、
“今の家族に合った形”を選ぶことが、これからの相続の新常識です。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
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保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」