🌸 はじめに

「亡くなった瞬間に銀行口座が凍結される」――そう思っていませんか?
実はこれは半分正解で、半分誤解です。

相続の現場では「まだ使えると思っていたのに引き出せなかった」「公共料金の支払いが止まってしまった」など、口座凍結のタイミングを誤解したことによるトラブルが多発しています。

この記事では、銀行口座がいつ・どのように凍結されるのかをわかりやすく解説し、円滑な相続手続きのために知っておくべき対策をお伝えします。

🏦 銀行口座は「亡くなった瞬間」に自動で凍結されるわけではない

多くの方が誤解しているのが、

「人が亡くなったら自動的に銀行口座が止まる」
という点です。

実際には、銀行が亡くなったことを知るまでは、自動的には凍結されません
銀行が「死亡の事実」を把握した時点で、初めて凍結が行われます。

🧾 口座凍結の仕組み(流れ)

状況凍結の有無補足
亡くなった直後(銀行が知らない)❌ 凍結されていない一時的に引き出し可能
銀行が死亡を知った後✅ 凍結される預金引き出し・振込が停止
相続手続き完了後🔓 解除される名義変更後に利用可能

つまり、死亡した瞬間ではなく、「銀行が知った瞬間」に凍結されるのです。

⚠️ 凍結されると何ができなくなるの?

銀行口座が凍結されると、次のようなことができなくなります。

  • 💸 ATMでの引き出し
  • 💳 クレジットカード・公共料金の自動引き落とし
  • 📲 振込・送金・ネットバンキング利用

このため、葬儀費用の支払いや、光熱費の自動引き落としが止まるケースが多く見られます。

👪 凍結後でも引き出せるケースとは?

実は、条件を満たせば一定額を引き出せる制度があります。
令和3年から導入された「預貯金の仮払い制度」です。

項目内容
対象被相続人名義の預貯金
引き出し可能額口座残高 × 1/3 × 相続人の法定相続分(上限150万円)
手続き戸籍謄本・死亡届出・相続関係説明書などを提出

この制度を利用すれば、葬儀費用や当面の生活費を賄うことが可能です。

🧠 銀行が「死亡」を知るきっかけとは?

銀行が死亡を知る主なきっかけは、以下の通りです。

情報源内容
遺族からの連絡多くはここから凍結が始まる
新聞・訃報・官報公開情報で知るケースもあり
郵便物の返送・届出書類の不達などから判明することも
税務署・役所との情報連携マイナンバー制度の影響で今後増加傾向

つまり、遺族が連絡しなければすぐに凍結は起こらない場合もあるのです。

💡 トラブルを防ぐための3つの対策

対策内容
① 家族に口座情報を共有しておく銀行・支店名・口座番号をリスト化
② 生活費用を分けておく凍結時に支払いが止まらないよう別口座を用意
③ 遺言書で指定しておく誰がどの口座を引き継ぐかを明記

特に「②生活費口座の分離」は実践的。
葬儀費や光熱費を支払うための緊急用口座を用意しておくと安心です。

🌿 まとめ|正しい知識が“混乱”を防ぐ

  • 銀行口座は「亡くなった瞬間」ではなく「銀行が知った時」に凍結される
  • 凍結後も、仮払い制度で一部引き出し可能
  • トラブルを防ぐには、口座情報の共有と生活費の分離がポイント

「まだ大丈夫」と思っていても、突然の相続は誰にでも起こり得ます。
正しい知識と事前準備で、“お金の混乱”を防ぎましょう。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
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保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」