「遺言書を書いておきたいけど、自筆?公正証書?どっちがいいの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では遺言書の基本的な種類と、自筆証書遺言と公正証書遺言の違い・選び方についてやさしく解説します。

遺言は「もしもの時」の安心にもつながります。まずは、それぞれの特徴を知ることから始めてみましょう。

遺言書にはどんな種類がある?

遺言書には法律で認められた種類がいくつかありますが、一般的によく使われているのは次の2つです。

  • 自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)
  • 公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)

どちらも有効な遺言ですが、それぞれにメリット・デメリットがあります。以下で詳しく見ていきましょう。

自筆証書遺言とは?メリット・デメリット

自筆証書遺言は、その名の通り「全文を自分の手で書く」遺言書です。費用がかからず、手軽に作成できる点が特徴です。

主なメリット

  • 費用がほとんどかからない(用紙・ペンだけでOK)
  • いつでもどこでも自分だけで作れる
  • 内容を誰にも知られずに書ける

主なデメリット

  • 内容や形式に不備があると無効になるリスク
  • 相続発生後、家庭裁判所で検認が必要(手続きに時間と労力がかかる)
  • 紛失・改ざんのリスクがある

✅ 改善策:法務局での「自筆証書遺言保管制度」を利用することで、紛失防止&検認不要にできます(2020年からスタート)。

公正証書遺言とは?メリット・デメリット

公正証書遺言は、公証人(法律の専門家)に内容を伝え、法律に沿って文書を作ってもらう方式です。証人2人の立ち会いが必要ですが、法的な信頼性が高いのが特徴です。

主なメリット

  • 専門家が作成するため無効になる心配がほとんどない
  • 家庭裁判所の検認が不要で、すぐに手続きできる
  • 原本が公証役場に保管されるため、紛失・改ざんのリスクなし

主なデメリット

  • 手数料がかかる(数万円程度〜財産額により異なる)
  • 証人が2人必要(第三者に内容が知られる可能性がある)
  • 作成までに日数がかかることも

自筆と公正証書の違いを表で比較!

以下に、よく比較されるポイントを一覧でまとめました。

比較項目自筆証書遺言公正証書遺言
作成方法本人がすべて自筆で記載公証人に内容を口頭で伝えて作成
費用ほぼ無料数万円〜(公証人手数料あり)
手続きの手軽さ手軽に書ける公証役場へ出向く必要あり
法的安全性不備があると無効になる可能性公証人が作成するため安心
紛失のリスク自宅保管だと紛失・改ざんの恐れ公証役場で保管(原本あり)
検認の必要性家庭裁判所の検認が必要不要(すぐに使える)

どちらを選ぶべき?目的と状況で判断を

自筆証書と公正証書、どちらが「正解」ということはありませんが、それぞれに向いている人・場面があります。

自筆証書遺言が向いているケース

  • 財産の額が少なく、相続人も少数でトラブルになりにくい
  • 費用をかけたくない
  • とりあえず今すぐ書いておきたい

公正証書遺言が向いているケース

  • 財産額が多い、相続人が複数いてトラブルの可能性がある
  • 確実性・法的安全性を重視したい
  • 遺言内容に複雑さがある(特定の人に財産を集中させたい等)

まとめ|安心して遺言書を残すために

遺言書にはそれぞれ特徴があり、自分の状況や目的に合わせた選択が大切です。
「書いてみようかな」と思った今が、遺言書作成の第一歩。
失敗しないためにも、専門家のサポートを受けて作るのもおすすめです。

遺言は「家族に残す最後のメッセージ」。
だからこそ、自分の意思をしっかり形にする方法を選んでくださいね。

よくある質問

Q. 自筆証書遺言ってパソコンで作ってもいいの?
A. ダメです。全文を「手書き」で書く必要があります。

Q. 公正証書遺言の作成にはどれくらいの時間がかかる?
A. 準備を含めて1〜2週間ほど見ておくと安心です。