🌸 はじめに
「遺言書さえあれば相続でもめない」と思っていませんか?
実は、遺言書があっても揉めるケースは少なくありません。
内容は正しくても、“伝わり方”や“準備の仕方”を間違えると、
かえって家族の関係がギクシャクしてしまうことも。
この記事では、行政書士の視点から
「遺言書があるのに揉める3つの代表的なケース」を紹介し、
その原因と防止策をわかりやすく解説します。
⚠️ 遺言書があっても揉める3つのケース
| ケース | 具体的な内容 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 🌀 ① 書いてある内容が不公平に見える | 長男だけ多くもらう/一部の子に不動産集中 | 遺留分・気持ちの不平等 |
| 📄 ② 書き方・形式に不備がある | 日付や署名の欠落・訂正印なし・証人の要件不備 | 法的に無効または無視される |
| 💬 ③ 家族に“事前説明”がなかった | 読んで初めて知り、驚きや不信感 | 意図が伝わらず感情的トラブルへ |
🌀 ケース① 不公平に見える遺言書
「兄に不動産」「妹に現金」と書いていても、
金額の差が大きいと“偏り”として受け取られます。
さらに、不動産は評価額が分かりにくく、
「平等に分けたつもり」でも不公平に見えることがあります。
📌 対策ポイント
- 財産の種類・評価額を一覧にして、全体バランスを確認
- 「なぜこのように分けるのか」を付言事項に明記
- 遺留分を侵害していないか専門家にチェックしてもらう
💡 ポイント:金額の平等より、「納得感の平等」が大事です。
📄 ケース② 書き方・形式に不備がある
遺言書は、内容より形式のミスで無効になることが多い書類です。
よくあるミスには以下のようなものがあります。
| よくあるミス | 結果 |
|---|---|
| 日付が「令和〇年〇月」までで「日」がない | 無効 |
| 代筆やワープロで書いた | 自筆証書遺言では無効 |
| 訂正したのに訂正印を押していない | 訂正無効と扱われる |
| 証人が相続人やその配偶者 | 公正証書遺言の要件違反 |
📌 対策ポイント
- 自筆証書遺言は「全文・日付・署名・押印」が必須
- 公正証書遺言なら形式ミスの心配なし
- 書いた後は必ず専門家に形式チェックを依頼
💡 “内容の立派さ”より“形式の正確さ”が信頼の基本。
💬 ケース③ 家族に事前説明がなかった
最も多いトラブルがこのケースです。
どんなに法的に完璧な遺言でも、
家族が「初めて知った」と感じると、
“気持ちの納得”を失いやすいのです。
たとえば──
「長男に家を残したい」と思っていた親の気持ち。
でも妹がその理由を知らず、結果的に感情的対立へ。
📌 対策ポイント
- 作成後に家族へ「気持ちの説明」をしておく
- 言いづらい場合は付言事項に想いを添える
- 家族信託や生前贈与も選択肢に
💡 「何を残すか」より、「どう伝えるか」が遺言の本質。
🌈 まとめ|“遺言書は書けば安心”ではない
| 注意点 | 対応策 |
|---|---|
| 不公平に見える | 付言事項で理由を明記する |
| 形式ミス | 公正証書遺言を選ぶ |
| 意思の伝達不足 | 家族に説明・想いを残す |
遺言書は法的な書類であると同時に、家族への手紙です。
「法的に正しい」だけでなく、
「心で伝わる」遺言を残すことが、本当の“もめない相続”への第一歩です。
