🌸 はじめに:書き方よりも「書いてはいけない言葉」が大事!
遺産分割協議書は、相続人全員の合意を明文化する非常に重要な書類です。
ところが、「たった一つの文言ミス」 が後々の相続トラブルや登記不能につながることがあります。
実務でよく見る誤りには、法律的な誤解・曖昧表現・将来の紛争原因などが潜んでいます。
今回は、行政書士の現場から見た 「書いてはいけない文言5選」 を具体的に解説します。
🚫 書いてはいけない文言5選
| № | 文言例 | 問題点 | トラブルの実例 |
|---|---|---|---|
| ① | 「代表して○○が受け取る」 | 他相続人の同意範囲が不明確 | 代表者が勝手に預金を使い込み、後日訴訟に発展 |
| ② | 「残りは話し合って決める」 | 分割が未確定=協議書の効力なし | 銀行・法務局で手続き拒否されるケース |
| ③ | 「将来変更することもある」 | 合意内容が固定されず無効リスク | 後に「やっぱり不動産は長男で」と揉める |
| ④ | 「○○が全て処理するものとする」 | 負担範囲・内容が不明確 | 税金・解体費用負担をめぐって対立 |
| ⑤ | 「遺産は全て○○のものとする」 | 他相続人の署名があっても実質贈与扱いの恐れ | 贈与税課税・登記拒否事例あり |
🧭 実務でよくある“文言ミス”の背景
これらの誤りは、「早く終わらせたい」「とりあえずまとめよう」と焦る場面で起こりがちです。
とくに、手書きやテンプレート流用で作成する場合に注意が必要です。
✅ ポイント:文面の「意味」が法律的に有効かどうかを意識する。
たとえば「代表して」や「処理する」という言葉は便利に見えても、責任範囲が不明確になりやすいのです。
🧩 安全な書き方のコツ(修正例つき)
| NG文言 | 修正例 | 理由 |
|---|---|---|
| 「代表して○○が受け取る」 | 「○○が他の相続人の代理として、預貯金を受け取る」 | 代理権を明示して法的根拠を明確に |
| 「残りは話し合って決める」 | 「本協議書に定めのない財産が判明した場合、別途協議のうえ合意書を作成する」 | “将来協議”を限定的に記載 |
| 「○○が全て処理する」 | 「○○が名義変更・税務申告等の実務を行う。ただし費用は全員で負担する」 | 実務範囲と費用分担を明確化 |
💡 行政書士が見た“実際のトラブルパターン”
1️⃣ 相続人の一人が「代表者名義」で預金を引き出したが、他の相続人と精算せず紛争化。
2️⃣ 「残りは話し合い」と記載したため、遺産分割協議が未成立と判断され、登記を拒否された。
3️⃣ 「すべて○○のものとする」と書いた結果、贈与税が課される事例に。
これらはどれも「文言の曖昧さ」が原因です。
🏁 まとめ:協議書は“合意の証拠”であることを忘れずに
遺産分割協議書は、全員の意思を正確に表す法的文書です。
そのため、便利そうな言葉でも「曖昧」「包括的」な表現は避けましょう。
最後にもう一度、チェックリストを確認してみましょう👇
✅ 「代表」「残り」「将来」「すべて」などの曖昧表現は要注意
✅ 負担・費用・代理・範囲は明確に書く
✅ 迷ったら専門家(行政書士・司法書士)に確認を
