認知症はある日突然ではなく、ゆっくりと進行するもの。
「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに、いざという時に大切な財産が凍結されてしまうケースも少なくありません。
✅ 認知症になると起こる「財産管理の問題」
親が認知症になると、銀行口座が凍結される、不動産の売却ができなくなるといった問題が発生します。
これは、法律上「本人の意思確認が取れない」状態になるからです。
よくある困りごと:
- 親の預金を生活費や介護費に使えない
- 実家を売却して施設費に充てたいのにできない
- 親の所有不動産の名義変更や管理がストップ
✅ 家族信託で「できること」一覧
家族信託を使うと、親が認知症になっても、あらかじめ決めたルールに従って財産を動かせます。
📌 主な「できること」:
内容 | 解説 |
---|---|
銀行口座の管理・支払い | 信託口座であれば、受託者が各種支払いを継続できます。 |
不動産の売却や賃貸契約の締結 | 受託者が手続きを行い、親の生活費や施設費用に充てることが可能です。 |
財産の使い道を生前に設計できる | 誰が管理し、誰に利益を渡すかを自由に決められます。 |
成年後見制度の代替として利用可能 | 家族で柔軟に管理できる仕組みとして注目されています。 |
❌ 家族信託で「できないこと」一覧
とはいえ、家族信託にも限界があります。
📌 主な「できないこと」:
内容 | 解説 |
---|---|
税金の特別優遇 | 家族信託によって相続税が安くなるわけではありません。 |
契約後の財産変更(原則) | 信託財産の範囲外の財産(例:新たに入った退職金など)は対象外です。 |
受託者の勝手な財産利用 | 受託者が好きに使えるわけではなく、あくまで「信託契約通り」に運用。 |
認知症後の新規信託契約の締結 | 認知症になったあとでは信託契約は結べません(意思能力が必要)。 |
⚠️ 注意したい3つのポイント
- 信託契約は「親が元気なうち」にしか結べない
→ 意思能力がなくなってからでは手遅れです。 - 受託者に大きな責任がある
→ 銀行・税務署など対外的なやり取りも発生するため、適任者の選定が重要。 - 家族全体の理解と合意形成が必要
→ 特定の子どもだけが有利になるような契約はトラブルの元。
📚 まとめ:備えるなら、早めの行動がカギ
家族信託は、認知症に備える生前対策として非常に有効です。
ただし、「なんでもできる魔法の制度」ではなく、向き・不向きや限界もあります。
だからこそ、親が元気なうちに家族で話し合い、信頼できる専門家と一緒に仕組みを整えることが大切です。