🏠 自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、自分の手で全文・日付・署名・押印をして作る遺言書です。
紙とペンさえあれば作成でき、費用もかからず最も手軽な遺言書の形式です。

💡 法律根拠
民法968条:「遺言者は、遺言の全文、日付及び氏名を自書し、これに押印をしなければならない。」

✅ メリット

  • 自分だけで作成できる(秘密保持)
  • 公証役場へ行く必要がない
  • 修正や書き換えが自由

⚠️ デメリット

  • 書式ミスで無効になる可能性
  • 紛失・改ざん・破損のリスク
  • 発見されないままになることも

📘 自筆証書遺言の正しい書き方

自筆証書遺言は、次の5つの要素をすべて満たすことが必須です。

要件内容注意点
① 全文自筆パソコン・代筆はNG財産目録のみパソコン可(令和2年改正)
② 日付西暦でも和暦でも可「令和〇年〇月〇日」を明記(「〇月吉日」は無効)
③ 氏名本人の署名を自書印鑑登録の氏名と一致が望ましい
④ 押印実印または認印でOKサインのみは無効
⑤ 内容の特定相続人・財産を特定できること「自宅」や「預金」だけでは曖昧になる

🟡 ワンポイント
財産目録をパソコンで作る場合でも、各ページに署名と押印を忘れずに!

🖋️ 有効にするための5つの注意点

🔹① 「全文自筆」を守る

自筆証書遺言の基本は自分で書くこと
代筆・ワープロ・スマホ入力はすべて無効です。
ただし、財産目録のみパソコン作成可(令和2年7月施行の法改正)。

🔹② 日付の書き方に注意

「令和〇年〇月〇日」を明記。
「吉日」「春頃」などは法律上日付不明で無効になります。

✏️ 例:令和7年3月15日

🔹③ 押印は必ず!

サインだけでは認められません。
実印が望ましいですが、認印でもOK
拇印の場合は、トラブル防止のために本人確認資料を残すと◎。

🔹④ 財産と相続人を具体的に書く

「長男に土地を」「妻に預金を」では曖昧です。
不動産や預貯金は特定情報を明記しましょう。

財産の種類記載例
不動産千葉県佐倉市○○町1丁目2番3号 土地建物
預貯金○○銀行○○支店 普通預金 口座番号1234567
株式○○証券株式会社 口座番号000111 株式全て

🔹⑤ 保管方法に注意

せっかく書いても見つからなければ意味がありません
法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を使うと安心です。

📍 法務局保管のメリット

  • 紛失・改ざん防止
  • 家庭裁判所の検認が不要
  • 全国の指定法務局で受付

⚖️ 失敗しやすい「無効例」

ミスの内容結果原因
「吉日」と書いた無効日付不明
押印を忘れた無効要件欠落
財産目録に押印なし一部無効法改正の理解不足
ワープロで全文作成無効代筆扱い
封印だけして内容不備無効形式重視の誤解

🌈 まとめ|「自分で書ける」けれど「慎重に」

自筆証書遺言は、もっとも手軽で自由な遺言書の形式です。
しかしその反面、形式不備による無効リスクが最も高いのも事実。
以下の3ステップで進めるのが安全です。

ステップまとめ

  1. 正しい書式で自筆作成
  2. 内容を専門家(行政書士・公証人)に確認
  3. 法務局に保管しておく

あなたの想いを確実に残すために、「書く」「確認する」「保管する」をセットで考えましょう。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
立神法務事務所では、“相談しやすさ”を何より大切にしたサポートを心がけています。専門用語を並べるのではなく、「どうしてそうなるのか」がわかるよう背景や理由も交えて説明。
メリット・デメリットを丁寧にお伝えし、 お客様と一緒に、最適な方法を探していきます。

保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」