「税金がかからないように、全部お母さんが相続した方が得ですよ」
そんなアドバイスを信じて行った遺産分割が、
数年後「こんなに税金がかかるなんて…」という後悔につながることも。
この記事では、実際に“節税”のつもりが裏目に出た二次相続の実例と、
そうならないためのシンプルな回避策をわかりやすくご紹介します。
そもそも「一次相続」「二次相続」ってなに?
相続は一度だけでは終わりません。夫婦のどちらかが先に亡くなった場合、
- 一次相続:最初に亡くなった親(例:父)の相続
- 二次相続:その後に亡くなったもう一方(例:母)の相続
という2回の相続が発生します。
一次相続では「配偶者の税額軽減」があるため、母がすべて相続すれば相続税がかからないケースが多いです。
しかし…その選択が、数年後の「二次相続」で税金を爆発的に増やしてしまう可能性があるのです。
📉【実例】節税のつもりが税負担激増に
●ケース概要
内容 | 金額または内容 |
---|---|
父の財産総額 | 8000万円 |
相続人 | 母・長男・長女 |
遺産分割 | 全額を母が相続(節税目的) |
相続税(一次相続) | 0円(配偶者の税額軽減適用) |
母の死亡時(5年後) | 財産評価額9000万円 |
相続人(母の相続) | 長男・長女 |
相続税(母の二次相続) | 約1000万円以上発生…! |
●なにが問題だったのか?
- 相続税の基礎控除が一気に下がる(配偶者がいなくなる)
- 相続税の控除枠を1回分しか使えなかった
- 母が亡くなるタイミングで不動産の評価額が上がっていた
- 結果的に、一次+二次のトータル相続税額が高くなった
⚠️ 節税だけを見ていると危ない理由
「母に全部相続させれば税金はゼロです」と言われると、誰でも安心してしまいます。
でも実際には、
- 将来の相続税がどうなるか?
- 誰がどの財産を受け取るのか?
- 二次相続での不公平や揉めごとが起きないか?
など、長期的な視点での設計が必要です。
✅ 今からできる!回避策3つ
① 一次相続から「分散相続」を検討する
一次相続の時点で、子にも一部相続させることで、
- 控除枠を最大限に活用できる
- 二次相続での課税財産を減らせる
- トータルでの相続税が抑えられる
特に現金や預貯金の一部を子に分けるだけでも、効果があります。
② 不動産の評価や活用方法を見直す
二次相続まで不動産をそのまま保有することで、評価額が変わることも。
- 小規模宅地の特例が使えるうちに手続きしておく
- 相続後の活用・売却も含めた設計を
③ 家族で「相続カレンダー」を共有する
「お母さんが何歳の時に、どんな資産が残っていて、誰にどう分けたいのか?」
家族で共有しながら、定期的に棚卸ししておくと、
- 早めの対策ができる
- 認知症になる前に対策が打てる
- 相続設計を“家族の話題”にしやすくなる
💬 専門家からのひとこと
節税はもちろん大切ですが、それだけに目を向けると、
- 家族間トラブル
- 税負担の逆転
- 不動産が分けられない
など、取り返しのつかない問題になることも。
特に「二次相続」は見落とされがちな落とし穴。
だからこそ、一次相続の段階で全体設計をしておくことが大切なんです。
まとめ
- 一次相続だけ見ていると、後から税負担が跳ね上がることもある
- 二次相続の税負担と家族の関係性を見越した遺産分割がカギ
- 節税だけじゃなく、“その後”を見通す設計を
「損をしない相続」は、「いまの相続」を少しだけ広く考えることから始まります。
👉 相続で失敗したくない方へ
二次相続の税負担や分割トラブルを防ぐなら、
一次相続のタイミングがいちばんのチャンスです。
「うちは大丈夫かな?」と思ったら、お気軽にご相談ください。