はじめに:なぜ空き家問題が増えているのか
近年、社会問題となっている「空き家」。総務省の調査によれば、日本全国で空き家の数は年々増加し、相続をきっかけに空き家化するケースが目立ちます。
「親の家を誰も住まないまま相続した」
「遺言がなく、兄弟で話し合いが進まない」
「固定資産税だけ払い続けている」
──こうしたトラブルを防ぐには、生前からの準備が欠かせません。
空き家問題を引き起こす原因
| 主な原因 | 内容 | トラブル例 |
|---|---|---|
| 遺言がない | 誰に相続するか不明確 | 相続人同士で揉め、処分が進まない |
| 相続人が複数 | 共有名義で管理困難 | 売却や解体の同意が得られない |
| 相続放棄 | 管理責任があいまいに | 放置され老朽化、近隣から苦情 |
| 高齢化 | 相続人自身が高齢 | 処分する体力・気力がなく放置 |
👉 ポイントは、「誰が、いつ、どう処分するかを事前に決めておくこと」です。
生前対策でできること
1. 遺言書の作成
- 誰に家を相続させるか明記できる
- 共有名義を避け、処分をスムーズに
- 公正証書遺言なら安心・確実
2. 家族信託の活用
- 家を信頼できる家族に「管理・処分権限」を託せる
- 認知症で判断力が低下しても円滑に手続可能
- 売却・解体・賃貸など柔軟に対応できる
3. 生前贈与
- 将来の相続争いを避ける一手
- ただし贈与税の負担に注意が必要
遺言と家族信託の比較
| 項目 | 遺言 | 家族信託 |
|---|---|---|
| 効力発生 | 死後 | 契約締結時から |
| 主な効果 | 相続先の指定 | 管理・処分権限の移転 |
| メリット | 作成が簡単、費用少なめ | 認知症対策、柔軟な財産管理 |
| デメリット | 生前は効果なし | 専門家のサポートが必要 |
👉 組み合わせて活用するのがベスト。
遺言で「承継先」を指定し、家族信託で「管理・処分」を柔軟に任せると安心です。
まとめ
空き家問題は、「相続が発生してから考える」のでは遅すぎます。
生前から遺言や家族信託を活用することで、
- 相続人同士の揉め事を防ぐ
- 管理や売却をスムーズにする
- 老後の安心も確保できる
──という大きなメリットがあります。
「誰に残すか」「どう管理するか」を、今のうちに考えてみませんか?
