少しでも相続税を抑えたい…
そう思ったとき、最も効果が大きい対策の一つが 「不動産を活用した節税」です。

現金や預金は評価額そのままに課税されますが、不動産には「評価の仕組み」を活かした節税のチャンスがあります。

この記事では、不動産による相続税の節税テクニックをわかりやすく解説します。

✅ 不動産を使った節税が有効な理由とは?

不動産は「相続税評価額が実勢価格より低くなる」という特性があります。
これは、現金や株とは決定的に違う点です。

たとえば…

  • 時価5,000万円の土地 → 相続税評価額は3,000万円程度に
  • 建物も、減価償却や建築構造によって評価が圧縮される

このように、「実際の価値」よりも「課税される評価額」が低くなるため、相続税の総額を合法的に圧縮できます。

1. 賃貸用不動産を活用して評価額を圧縮

不動産の中でも賃貸用物件(アパート・マンション等)は、評価額を大きく下げられる手法として人気です。

🔹 節税の仕組み

賃貸物件は、以下の要素によって評価額が下がります:

  • 貸家建付地の評価減:更地より評価額が約20%〜30%減
  • 建物の評価も原価法で低め
  • 借家権割合の適用(借主の権利も考慮)

✅ メリット

  • 相続財産を合法的に評価減できる
  • 家賃収入によって老後資金にもなる
  • 相続人に「不労所得」を残せる

⚠ 注意点

  • 空室リスクや管理負担がある
  • 節税目的だけでの購入はNG(不動産価値の変動に注意)

2. 小規模宅地等の特例を活用する

小規模宅地等の特例」を使えば、自宅や事業用不動産の評価額が最大80%減額されることがあります。

🔹 適用条件の一例

対象となる宅地減額率条件例
自宅の敷地最大80%相続人が同居しているなど
貸付事業用地最大50%貸し付け事業を継続する必要あり

✅ メリット

  • 数千万円単位の評価減も可能
  • 適用されれば相続税がゼロになるケースも

⚠ 注意点

  • 相続後も住み続ける・事業を継続するなどの要件あり
  • 書類不備や誤解で適用できないケースもあるため専門家相談が必須

3. 自用地から貸地・定期借地への変更を検討する

相続前に、保有している土地を貸地や定期借地権付きにしておくと、評価額が下がる場合があります

🔹 例:更地 → 貸地(借地権付き)へ

  • 借地権割合・底地割合に基づいて評価が分割される
  • 借地人の権利が発生することで、評価額が抑制される

✅ メリット

  • 現金化せずに節税が可能
  • 借地契約で地代収入も得られる

⚠ 注意点

  • 相続人にとって扱いにくい財産になる可能性もあり
  • 法的な契約や権利調整が必要

✅ 不動産を活用した節税は「設計力」が勝負

相続対策として不動産を活用するには、「相続税評価の仕組み」を正しく理解し、計画的に行うことが重要です。

  • 無理な借入で不動産を買うと、かえって負担が増えることも
  • 節税目的だけの物件選びは危険

「どの物件を、どう持つか」「誰に相続させるか」まで含めて、不動産と相続に強い専門家との連携が不可欠です。

🧭 まとめ|不動産は節税の「強い味方」になる

テクニック節税効果主な注意点
賃貸用不動産の活用空室リスク・資金計画が重要
小規模宅地等の特例の活用◎◎要件を満たすことが必須
貸地・定期借地への変更契約内容や処理の難しさがある

将来の相続税を1円でも減らしたいとお考えなら、
「とりあえず不動産を買う」ではなく、仕組みを理解して、戦略的に活用することが大切です。