相続で悩んでいる方の中には「相続放棄を考えているけど、iDeCoやNISAがあるとどうなるの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。特にiDeCoやNISAは、非課税メリットがある大切な資産。相続放棄すると、こうした口座はどう扱われるのか、またどんなリスクやメリットがあるのかを詳しく解説します。

iDeCoやNISAは相続放棄の対象になるの?

相続放棄をすると、その方に属するすべての財産や債務(借金)を受け取らないことになります。これは、現金や不動産に加え、iDeCoやNISAのような投資信託口座も例外ではありません。

特に、iDeCoは年金制度に近い性質を持ち、通常の預貯金とは異なる扱いを受けるため、相続時には注意が必要です。また、非課税枠を持つNISAも、相続の影響で制度が変わることがあるので、その詳細を見ていきましょう。

iDeCo・NISAの相続に関する基本的な違い

項目iDeCoNISA
相続の可否可能(受取人による受け取り)可能(相続人による名義変更)
相続時の非課税制度非課税制度は終了非課税制度は終了
相続税の課税対象か?対象対象
特徴年金として一時金または分割受取可非課税枠の終了で課税対象になる

相続放棄する場合のリスク

iDeCoやNISAがある場合に相続放棄を選択すると、以下のようなリスクがあるので、注意が必要です。

1. 非課税メリットの喪失

  • 相続放棄すると、iDeCoやNISAの非課税枠も失われます。特にNISAは通常の口座と同じ扱いとなり、譲渡や換金に際して課税が発生します。

2. iDeCoの受取人指定が解除される

  • iDeCoでは通常、特定の受取人を指定することが可能です。しかし、相続放棄をすると、その指定が解除され、遺産全体の手続きに戻ります。結果的に、残された家族にiDeCoの資産が引き継がれない可能性があります。

3. 遺産総額が減少する

  • iDeCoやNISAの資産が相続できなくなるため、相続できる資産総額が減り、特に相続する人が複数いる場合には、負担が増える可能性があります。

相続放棄する場合のメリット

一方で、相続放棄が有利に働くケースもあります。

1. 負債の回避

  • 多額の借金がある場合には、iDeCoやNISAも含めて相続放棄することで、負債を引き継がなくて済みます。これは、被相続人の借金が資産を上回る場合に大きなメリットです。

2. 複雑な相続手続きの簡略化

  • iDeCoやNISAがあると、通常の口座よりも手続きが複雑になる場合があります。相続放棄をすることで、こうした手続きから解放され、遺産分割協議なども不要になります。

iDeCoやNISAがある場合の相続放棄を検討する際の判断基準

判断基準ポイント
資産と負債のバランス負債が多ければ、放棄した方がメリットが大きい
iDeCoの受取人指定の有無受取人が明確に指定されている場合、放棄すると指定の受取人も資産を受け取れない
手続きの簡易性手続きが煩雑な場合、放棄が手間を省く手段となる
他の相続人との関係他の相続人と円満に分割協議を進めるなら放棄を避けた方がよい

まとめ:iDeCoやNISAがある場合の相続放棄は慎重に判断を

iDeCoやNISAがあると、相続放棄の判断は通常よりも難しくなります。特に、iDeCoの受取人指定がある場合や、NISAの非課税枠が残っている場合は、放棄すると資産を無駄にしてしまう可能性があります。一方、借金が多くて負担が大きい場合には、相続放棄によってメリットを享受できることもあります。相続の専門家や税理士に相談し、自分にとってベストな選択をするようにしましょう。