🌸 はじめに:財産の性質によって“分け方”は変わる!

遺産分割協議書を作成する際、
「誰が何をどれくらいもらうか」を書くだけでは不十分です。

特に、現金や不動産、株式など 財産の種類ごとに性質が違う ため、
分け方を間違えると、後から登記・税務・評価でトラブルになりかねません。

今回は、実務でよく使われる3つの分割パターンを、
具体例・書き方付きで解説します。

🧭 遺産分割の3パターン一覧表

分割方法特徴向いている財産メリット注意点
① 現物分割財産そのものを分ける不動産・車・預金などシンプル・税務上も明快価値の偏りが出やすい
② 代償分割取得者が他の相続人に代償金を支払う不動産・事業用資産など不動産を1人が取得可能資金準備が必要/評価トラブル
③ 換価分割財産を売却して現金で分ける不動産・株式など換金性ある資産公平に分けやすい売却時期・価格でもめる

💰 パターン①:現物分割(もっとも基本的な方法)

現金や預貯金が多い場合に有効な分け方です。
財産をそのまま相続人に分配します。

📌 書き方例(協議書文言)

第〇条 本件遺産のうち、○○銀行普通預金(口座番号×××)は、長男○○が相続する。

第〇条 本件不動産(所在地:佐倉市○○)は、長女○○が相続する。

ポイント

  • 財産ごとに誰が取得するかを明示
  • 登記や名義変更に必要な情報(所在地・口座番号等)を記載

💡 メリット: 手続きが明快でスピーディー
⚠️ 注意点: 財産の評価に差があると「不公平」と感じる人が出やすい

🏠 パターン②:代償分割(不動産の分け方で多い)

不動産を1人が取得し、他の相続人にお金で精算する方法です。
不動産を売らずに所有したい場合によく使われます。

📊 具体例:
父の自宅(評価2,000万円)を長男が相続し、
兄妹2人にそれぞれ500万円ずつ支払うケース。

相続人取得内容備考
長男自宅(2,000万円相当)他の相続人へ1,000万円支払い
次男代償金500万円長男から受け取る
長女代償金500万円長男から受け取る

📌 書き方例(協議書文言)

第〇条 本件不動産(所在地:佐倉市○○)は、長男○○が相続する。

第〇条 長男○○は、代償として次男○○に金五百万円、長女○○に金五百万円を支払う。

💡 メリット: 不動産を分けずに保有できる
⚠️ 注意点: 代償金の支払時期・方法を明記しないと争いのもとに

💹 パターン③:換価分割(売却して現金で分ける)

相続財産を売却し、その売却代金を分ける方法です。
株式・不動産など評価が難しい資産に適しています。

📊 具体例:
相続した土地(売却価格3,000万円)を売却し、3人で等分するケース。

相続人分配金額備考
長男1,000万円売却後、司法書士口座から振込
次男1,000万円同上
長女1,000万円同上

📌 書き方例(協議書文言)

第〇条 本件不動産は売却してその代金を3等分し、各相続人に分配する。

第〇条 売却手続は長男○○が代表して行い、必要書類を作成・提出する。

💡 メリット: 公平でトラブルが少ない
⚠️ 注意点: 売却時期・経費(仲介手数料・税金)を誰が負担するか明記すること

📘 まとめ:遺産分割協議書は「分け方」選びでトラブルを防ぐ

チェック項目内容
現物分割財産をそのまま分ける(シンプルだが不公平に注意)
代償分割1人が取得して代償金で調整(不動産に向く)
換価分割売却して現金で分配(公平性が高い)

🪶 まとめポイント

  • 財産の性質に合わせた分割方法を選ぶことが重要
  • 協議書には「具体的な財産」「取得者」「金額・方法」を明記
  • 曖昧な表現(“話し合って決める”など)は避ける

💬 専門家コメント(行政書士視点)

遺産分割協議書を作るときは、「どう分けるか」より「どう書くか」が重要です。
とくに代償分割や換価分割では、金額・時期・手続きの責任者を明確にしておくと、後の紛争を防ぐことができます。

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この記事を書いた人

立神 彰吾

相続・遺言・生前対策などの法務相談を中心に、これまで累計1万件以上のご相談に対応。
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保有資格
行政書士
(特定行政書士・申請取次行政書士)
宅地建物取引士資格(未登録)
書籍
「最強の一問一答 
行政手続法・行政不服審査法編」
「最強の一問一答 基礎知識編
(行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法)」