はじめに:独身だからこそ気になる「財産の行方」
「結婚していないし、子どももいない。自分が亡くなったら財産はどうなるの?」
──こうした疑問を持つ独身の方は少なくありません。
実は、独身者の相続は兄弟姉妹や甥姪に財産が渡るケースが多いのです。
その結果、実家が「空き家」になり、管理もされず放置されるトラブルも増えています。
独身者が亡くなった場合の相続順位
法律では「法定相続人」が決まっています。配偶者や子がいない場合、財産は次の順番で相続されます。
| 相続順位 | 誰が相続するか | 独身の場合の典型例 |
|---|---|---|
| 第1順位 | 子ども | なし |
| 第2順位 | 父母(直系尊属) | 存命なら親が相続 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 親も亡くなっていれば兄弟姉妹が相続 |
| 特例 | 甥姪 | 兄弟姉妹も亡くなっていれば甥姪が代襲相続 |
👉 独身で両親も亡くなっていれば、兄弟姉妹や甥姪が相続人になるのが一般的です。
空き家・預金が相続で抱える問題
空き家の問題
- 兄弟や甥姪の共有名義になり、処分に同意が必要
- 誰も住まず、維持費や固定資産税だけがかかる
- 老朽化すれば近隣トラブルに発展
預金の問題
- 相続人全員の同意がないと引き出せない
- 葬儀費用の支払いが滞るリスク
- 相続放棄や分割協議で揉めるケースも
独身の方ができる3つの生前対策
① 遺言書を作る
- 誰に何を渡すか自由に決められる
- 空き家を売却するよう指示できる
- 公正証書遺言ならトラブル防止に有効
② 家族信託を活用する
- 信頼できる親族に「管理・処分権限」を託せる
- 認知症になっても財産の処分が可能
- 預金や不動産の管理をスムーズに
③ 寄付や団体への遺贈を検討する
- 自分の意思で社会に役立てられる
- 遺言で寄付先を明記すれば確実に実現
- 相続人がいない場合も安心
遺言と家族信託の使い分け
| 項目 | 遺言 | 家族信託 |
|---|---|---|
| 効力発生 | 死後 | 契約締結時から |
| 主な役割 | 財産の「行き先」を指定 | 財産の「管理・処分」を委託 |
| メリット | 作成が容易、確実に反映 | 生前から財産活用できる |
| デメリット | 生前は効力なし | 契約や登記が必要 |
👉 併用することで、空き家・預金の問題を最小限にできます。
まとめ
独身者の相続は「自分には関係ない」と思われがちですが、遺言や対策をしなければ兄弟姉妹や甥姪が相続人となり、空き家や預金が宙に浮くリスクがあります。
- 遺言書で「承継先」を明確に
- 家族信託で「生前の管理」をスムーズに
- 必要に応じて寄付という選択肢も
──これらを組み合わせれば、空き家問題や預金の凍結を防ぎ、安心して人生を締めくくることができます。
👉 独身だからこそ“生前対策”をしっかり考えることが大切です。
