✅ はじめに
「家族信託を使えば相続税が減るんでしょ?」
そんなイメージを持つ方は多いですが、実は必ずしも節税になるとは限りません。
設計を間違えると、かえって贈与税がかかったり、相続税評価が上がったりするケースもあります。
この記事では、家族信託を相続税対策に使う際に注意すべき3つの落とし穴と、失敗を防ぐ方法を解説します。
⚠ 落とし穴①:受益者を間違えて贈与税が発生
家族信託では、財産から得られる利益(受益権)を誰が受け取るかを決めます。
この「受益者」を委託者以外にすると、贈与税が課税される可能性があります。
| ケース | 課税関係 | 注意度 |
|---|---|---|
| 委託者=受益者 | 課税なし | 🟢 安全 |
| 子どもを受益者に | 贈与税がかかる可能性大 | 🔴 高リスク |
| 委託者死亡後に受益権が子へ | 相続税課税 | 🟡 要確認 |
💡 対策
受益者はまず委託者本人とし、死亡後に受益権を移す設計が基本。契約前に税理士に確認を。
⚠ 落とし穴②:相続税評価が逆に上がるケース
家族信託で不動産を移しても、評価額が下がるわけではありません。
むしろ管理や運用がしやすくなることで賃貸収入が増え、相続税評価額が上がることもあります。
| 信託前 | 信託後 |
|---|---|
| 空室が多く収益性低い | 受託者が積極運用→満室 |
| 評価額が低め | 収益還元法で評価上昇 |
💡 対策
評価額が上がる可能性を踏まえた上で、二次相続までの税負担をシミュレーションする。
⚠ 落とし穴③:信託終了時に思わぬ税負担
家族信託は「終了時」に受益権や財産が移転します。
このタイミングで相続税や譲渡所得税が発生することがあり、想定外の税負担になることがあります。
| タイミング | 可能性のある税金 |
|---|---|
| 受益権移転 | 相続税 |
| 財産が受益者に完全移転 | 譲渡所得税(不動産) |
💡 対策
終了後のシナリオまで設計に盛り込み、相続税申告まで見据えた計画を立てる。
🎯 まとめ
家族信託は非常に便利ですが、
- 受益者を誤ると贈与税
- 収益改善で相続税評価UP
- 終了時に思わぬ課税
という3つの落とし穴があります。
失敗しないためには、契約前に税理士・行政書士と連携して設計することが重要です。
「節税だけ」を目的にすると逆効果になることもあるため、家族の将来設計全体を見ながら活用しましょう。
