🌸 はじめに
「家族信託を使うと何ができるの?」「逆にできないことってあるの?」
こんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
家族信託はとても柔軟な制度ですが、 “万能” ではありません。
この記事では、初心者にもわかりやすく できること・できないことを10の具体例 に分けて整理しました。
✅ 家族信託でできること(5つの具体例)
1. 認知症対策として財産管理
認知症で判断能力が低下しても、口座凍結や不動産の売却不能を防げます。
2. 不動産の管理・売却
アパートや自宅を受託者が管理・売却できるため、施設入居や相続対策がスムーズです。
3. 相続の順番を指定できる
遺言では一代限りしか指定できませんが、家族信託なら「父 → 母 → 子 → 孫」と複数世代に渡って承継先を決められます。
4. 障害のある家族の生活支援
子や孫に障害がある場合、生活費や療養費を信託財産から継続的に支援できます。
5. ペットの飼育資金の確保
法律上ペットは相続人になれませんが、信託を利用すれば「飼育費用を毎月支払う」といった管理が可能です。
❌ 家族信託でできないこと(5つの具体例)
6. 遺留分の侵害回避
遺留分(最低限の相続分)は、家族信託でも無視できません。
7. 借金の返済免除
信託で債務を消すことはできません。債務は相続人に引き継がれる可能性があります。
8. 公的年金や社会保障の管理
年金は本人の口座でしか受け取れず、信託口座に直接入れることはできません。
9. 成年後見制度の完全な代替
信託は財産管理が中心で、医療同意や介護契約などの「身上監護」まではカバーできません。
10. 遺言の効力そのものを置き換えること
信託で死後の財産承継は可能ですが、葬儀方法や祭祀承継など遺言特有の効力は持てません。
📊 家族信託で「できること」と「できないこと」一覧表
区分 | 具体例 | 補足ポイント |
---|---|---|
✅ できること1 | 認知症対策で財産管理 | 口座凍結を防止 |
✅ できること2 | 不動産の管理・売却 | 施設入居資金に充当可能 |
✅ できること3 | 複数世代への承継指定 | 遺言より柔軟 |
✅ できること4 | 障害のある家族の生活支援 | 長期的サポートが可能 |
✅ できること5 | ペットの飼育資金確保 | ペット信託の活用 |
❌ できないこと6 | 遺留分の回避 | 相続人の権利は保護される |
❌ できないこと7 | 借金返済の免除 | 信託では処理不可 |
❌ できないこと8 | 公的年金の管理 | 信託口座に直接振込不可 |
❌ できないこと9 | 身上監護の代行 | 後見制度と組み合わせが必要 |
❌ できないこと10 | 遺言の全ての効力 | 祭祀・葬儀方法は対象外 |
🎯 まとめ
家族信託は「できること」と「できないこと」を正しく理解して利用するのが大切です。
- できること → 認知症対策、不動産管理、相続設計、障害者支援、ペット資金確保
- できないこと → 遺留分の排除、借金処理、公的年金管理、身上監護、遺言全般の代替
👉 家族信託は万能ではないからこそ、遺言や成年後見制度と組み合わせるのが失敗しないポイントです。