会社相続において「株式の分配」は最もトラブルになりやすいポイントです。株式は経営権や利益配分に直結するため、適切に分配しないと親族間で争いが起きたり、会社運営が不安定になったりします。この記事では、株式分配時に注意すべき7つのポイントを解説します。

注意点①:後継者に経営権を集中させる

株式が分散すると経営権が不安定になり、会社の意思決定が迅速に行えなくなります。特に、相続人全員が同じ割合で株式を持つと、経営方針で対立するリスクが高まります。

解決策

  • 後継者に経営権を集中させるため、多数の株式を譲渡。
  • 他の相続人には現金や不動産を分配し、公平感を確保します。

注意点②:株式評価額を事前に把握する

相続税は株式評価額に基づいて算出されます。評価額を把握していないと、想定外の高額な相続税が発生し、納税が困難になることもあります。

解決策

  • 定期的に株式の評価額を見直し、適切な対策を取る。
  • 事業承継税制の適用を検討し、相続税の猶予を活用する。

表:株式評価の計算方法(例)

評価基準内容
純資産方式会社の資産・負債に基づいて計算
類似業種比準方式同業種の株価に基づいて計算
配当還元方式配当金額を基に評価(中小企業向け)

注意点③:遺言書を作成する

遺言書がないと、遺産分割協議で揉める可能性が高くなります。特に株式の配分は、明確に指定しておかなければトラブルの火種になります。

解決策

  • 株式の分配方法を遺言書に明記し、法的に有効な形で保管する。
  • 専門家のアドバイスを受けながら作成することで、抜け漏れを防ぎます。

注意点④:事前に家族会議を行う

株式の分配について相続人全員が理解していないと、相続後に不満が生じることがあります。生前に話し合いを行い、後継者選びや分配内容について納得してもらうことが重要です。

解決策

  • 家族会議を開き、分配方法を透明化する。
  • 第三者の専門家に進行役を依頼し、冷静な話し合いをサポートしてもらう。

注意点⑤:分散所有による経営リスクを防ぐ

株式が複数の相続人に分散すると、意思決定がスムーズに進まない可能性があります。最悪の場合、親族内で敵対関係が生まれ、会社の存続に影響が及ぶことも。

解決策

  • 経営権を後継者に集中させるよう株式の配分を調整する。
  • 会社が株式を買い戻す「自己株式取得」を検討する。

注意点⑥:株主間契約を活用する

株式を分散所有する場合、株主間でルールを明確にしておくことでトラブルを防ぐことができます。

解決策

  • 株主間契約で以下の事項を定める。
    • 株式譲渡の制限
    • 配当方針
    • 経営方針への関与範囲

図:株主間契約の概要

[ 株主間契約 ]
┌─────────────────────────┐
│ 株式譲渡制限:譲渡には他株主の承認が必要     │
│ 配当方針:配当金を公平に分配する         │
│ 経営関与範囲:意思決定権を明確にする       │
└─────────────────────────┘

注意点⑦:専門家のサポートを受ける

株式分配の方法や税制の適用は複雑で専門知識を要します。専門家に相談しながら進めることで、リスクを最小限に抑えることができます。

解決策

  • 行政書士や税理士などの専門家に依頼し、適切な分配方法を提案してもらう。
  • 必要に応じて弁護士を交え、法的トラブルへの備えを強化する。

まとめ

会社相続における株式分配は、経営権や親族間の関係に大きく影響を及ぼします。今回ご紹介した7つの注意点を押さえておけば、大きなトラブルを防ぐことができるでしょう。当事務所では、株式分配や相続税対策を含めた会社相続のサポートを行っています。まずはお気軽にご相談ください!