皆さんも「任意後見」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、その詳細についてはよく知らない方が多いかもしれません。そこで、今回は任意後見制度について詳しく解説したいと思います。

任意後見とは?

任意後見とは、自分の意思がはっきりしているうちに、将来認知症や障害によって判断能力が低下した場合に備えて、信頼できる人物(任意後見人)に自分の代わりに行ってもらいたいことをあらかじめ契約(任意後見契約)で決めておく制度です。

しかし、現実にはこの制度を利用しようとした時には、すでに本人が認知症になっており意思疎通が困難な場合があります。その場合は任意後見制度を利用することができず、成年後見制度を利用することになります。成年後見制度は手続きが複雑で、本人の意思を反映させることが難しい場合が多いです。

任意後見制度の重要性

本人にとって、自分が認知症であることを認めたくない、自分のことは自分で決めたいという気持ちは理解できます。しかし、何が起こるか分からないのが人生です。特に高齢になると、そのリスクは高まります。だからこそ、判断能力がしっかりしているうちに、信頼できる人物に自分の意思を託すことが重要です。

任意後見契約の手続き

任意後見契約は、公証役場で公正証書として作成します。この契約は、「本人の判断能力が低下したとき」に効力が発生します。つまり、判断能力が低下するまでは、通常通り自分で決定を行うことができます。

さらに、任意後見契約の効力が正式に発生するためには、本人の判断能力の低下とともに、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立を行い、任意後見監督人が選任される必要があります。この際、裁判所でも本人の判断能力の低下が確認されます。

任意後見監督人とは?

任意後見監督人は家庭裁判所が選任します。任意後見契約締結時に本人の希望を公正証書にしておけば、その希望に沿って選任手続きが進むことが多いですが、必ずしも希望通りになるわけではありません。

見ず知らずの人が任意後見監督人になるのは不安かもしれませんが、基本的には弁護士などの専門家が任意後見監督人に選任されることが多いです。実際、私の知り合いの弁護士も任意後見監督人を務めており、非常に信頼できる方でした。このように、専門家が選任されるため、安心して任せることができます。

最後に

将来の自分に備えて、任意後見制度を頭の片隅に置いておくことは重要です。自分自身と家族の安心のためにも、早めに考えておくことをお勧めします。ぜひ、信頼できる任意後見人を選び、任意後見契約を検討してみてください。