相続税対策を検討されている方から、最近よくご相談いただくのがこのご質問:

「養子縁組で相続税って本当に安くなるの?」

答えはズバリ、はい、合法的に節税効果があります!
ただし、正しく理解しないと「税務署に否認される」「家族関係がこじれる」などのリスクもあるため、注意が必要です。

この記事では、なぜ養子縁組で相続税が減るのか、そのしくみ・条件・注意点まで丁寧に解説します。

目次

  1. 養子縁組による節税の基本仕組みとは?
  2. 養子を増やすと何が変わるのか?【法定相続人の数】
  3. 養子縁組で得られる主な節税効果【2つのポイント】
  4. 注意点①「税務署のチェック」に要注意
  5. 注意点② 家族間トラブルを避けるために
  6. まとめ:信頼関係と制度理解が節税成功のカギ

1. 養子縁組による節税の基本仕組みとは?

養子縁組とは、法律上の親子関係を新たに作る制度です。
実子でなくても、養子にすれば「法定相続人」として扱われます。

そして、相続税には以下のような仕組みがあります:

📌 法定相続人の数が増えると――

  • 相続税の【基礎控除額】が増える
  • 【生命保険・退職金の非課税枠】も増える

この仕組みを上手に利用すれば、養子縁組によって相続税を抑えることが可能になるのです。

2. 養子を増やすと何が変わるのか?【法定相続人の数】

相続税の基礎控除は次の計算式で決まります:

3,000万円+600万円×法定相続人の数

つまり、相続人が1人増えるだけで、控除額が60万円も増えるのです!

さらに、生命保険・退職金には次の非課税枠があります:

500万円×法定相続人の数

✅ 相続人が1人増える
→ 基礎控除:+60万円
→ 非課税枠(保険など):+500万円

このように、養子縁組=相続人の数を増やす=節税につながるというわけです。

3. 養子縁組で得られる主な節税効果【2つのポイント】

① 相続税の基礎控除アップ
例えば、相続人が3人(実子2人+養子1人)なら
→ 基礎控除:3,000万円+600万円×3=4,800万円

② 生命保険・退職金の非課税枠が増える
→ 法定相続人3人なら、非課税枠:500万円×3=1,500万円

🧮 実際の課税対象額がこれらの控除額を下回れば、相続税がゼロになるケースもあるのです。

4. 注意点① 「税務署のチェック」に要注意

👮‍♂️ 養子縁組は節税になる反面、「節税目的があからさま」だと否認されるリスクもあります。

税務署は、以下の点を特にチェックしています:

  • 実態のある親子関係があるか?(日常的な交流など)
  • 相続直前に縁組していないか?(節税目的と見なされる)
  • 被相続人が縁組の意志を持っていたか?

✅ 対策:節税だけが目的と思われないように、早めの縁組+交流の記録が大切です。

5. 注意点② 家族間トラブルを避けるために

養子縁組によって法定相続人が増えると、他の相続人と遺産分割の割合が変わるため、

😡 「なんであの人だけ多くもらえるの?」
😡 「勝手に養子を増やして…納得いかない」

という“争族”の火種になってしまうことも。

✅ 回避策:

  • 養子縁組の目的を家族にきちんと説明する
  • 遺言書で分配内容を明確化する
  • 公正証書遺言+専門家の立ち会いでトラブル防止を

6. まとめ:信頼関係と制度理解が節税成功のカギ

養子縁組を使った相続税対策は、法的にも認められた有効な手段です。
しかし、「うまく使えば節税に、失敗すればトラブルに」なる、リスクと隣り合わせの方法でもあります。

🎯成功のための3つのポイント:

  1. 制度を正しく理解し、早めに動く
  2. 節税目的を表に出さず、自然な親子関係を築く
  3. 家族との信頼関係と、専門家のサポートを活用する

👨‍⚖️ 当事務所では、養子縁組と相続税の関係についての個別相談も随時受け付けています。
「養子縁組って自分にも合う?」「どれくらい効果がある?」など、気軽にご相談ください!