🧩 遺産分割でも「兄は兄、妹は妹」じゃない!?
相続では「兄弟姉妹は平等に分けるもの」というイメージが強いですが、
実際の遺産分割協議では、兄弟の“経済的格差”が力関係を生み、交渉に影響を与えることがあります。
たとえば、よくあるのが…
💬「無職の兄が“生活が苦しいから多くもらいたい”と主張してきた」
💬「妹はしっかり働いているが、“もう十分稼いでるんだから遠慮すべき”と家族に言われた」
今回は、そんな現代ならではの“経済格差”が、相続にどんな影響を与えるのかを掘り下げます。
💸 経済格差が遺産分割に及ぼす3つのリアルな影響
✅ 1. 無職の相続人が“感情的な圧力”をかけてくる
たとえば、長男である無職の兄が
「俺は今、仕事もないし、このままじゃ生活できない。遺産くらい多めにくれ」と言ってきた場合、
他の相続人が“かわいそうだから少し譲ろう”と妥協してしまうケースがあります。
法律上は平等でも、感情ベースの交渉で分配割合が変わってしまうことも…。
✅ 2. 経済的に自立している人が“遠慮してしまう”
一方、しっかり働いて安定している妹などは、こんな風に言われることがあります。
「あんたはもう十分稼いでるんだから、ちょっとくらい譲ったら?」
本来は等分で分けられるはずの遺産なのに、“立場の強さ”が裏目に出て損をすることもあるのです。
✅ 3. 「お金に困っている人ほど強く主張する」構造に
経済的に苦しい人ほど、相続が“最後の頼み綱”になっており、
譲歩の余地がなく、強硬な姿勢になりがちです。
これは、他の相続人にとってはプレッシャーでしかなく、
協議が重苦しいものになり、長引く原因にもなります。
⚠️ 法律では「経済状況による優遇」は基本ナシ!
民法では、相続人の経済状態を考慮して法定相続分が変動することはありません。
ただし例外的に、以下のような制度が使える可能性があります。
🔹 寄与分
家業を手伝ったり、親の介護をしたりした人には、多く分けることができます(あくまで実績がある場合のみ、その実績が裁判所に認められないことも…)。
🔹 特別受益
逆に、生前に親から多額の支援を受けた人がいれば、その分は差し引いて計算されることも。
💡 ですが、「今が無職だから」や「生活が苦しいから」というだけでは、相続分を変える理由にはならないのが現実です。
🛠 トラブルを防ぐための実践的な対策
✅ 1. 感情ではなく「ルール」をベースに話し合う
相続は「感情と道理のバランス」が非常に大切です。
経済的事情は同情の余地がある一方で、それが他の相続人の損になるのは不公平。
まずは法律に基づいたスタートラインを共有しましょう。
✅ 2. 専門家を交えて“中立の視点”で整理する
経済格差が大きいと、家族間の心理的な圧力が強くなりがちです。
そんな時は行政書士や司法書士など、中立の立場で進行できる第三者を交えると、
冷静な協議に戻すことができます。
✅ 3. 経済的支援が必要なら、相続と切り離して考える
「兄にお金を渡したい」という気持ちがあるなら、遺産分割とは別に“援助”として行う方がスッキリします。
本来の遺産配分を歪めると、のちの不満や争いの元になりかねません。
📌 まとめ:経済格差があっても“相続は公平”が基本
兄が無職、妹が働いている。
この状況は珍しくなく、どの家庭にも起こり得る話です。
ですが、だからといって
- 「生活が苦しいから多く欲しい」
- 「もう稼いでるんだから譲れ」
といった感情論だけで相続を進めるのは危険です。
💬 相続は「人生のごほうび」ではなく、「家族全体の公平な決算」。
経済的な格差を理由に、誰かが我慢する相続にはしないことが大切です。