遺産分割協議書は、相続人全員で合意した内容を明文化し、後々のトラブルを防ぐための大切な書類です。しかし、「とりあえず書いておけばいい」と安易に作成してしまうと、後々大きな問題に発展することも…。

この記事では、遺産分割協議書を作成する際に絶対に押さえておくべき7つの基本ポイントを、わかりやすく解説します。

1. 相続人全員の合意を必ず得ること

遺産分割協議書は、相続人全員が合意しなければ成立しません。もし、一人でも署名・押印していない場合、その協議書は無効となります。

対策

  • 相続人をしっかり確定する(戸籍の確認が必須)
  • 事前に相続人全員の意向を確認する
  • 書類を送る場合は、内容を丁寧に説明する

特に疎遠な親族がいる場合、連絡を取るのが難しいこともありますが、無理に進めると後々のトラブルのもとになります。

2. 財産を明確に記載する

「なんとなく」分けるのではなく、どの財産を誰が相続するのか、具体的に明記することが大切です。

記載例

✖️ 「父の預金は長男が相続する」 → どの銀行のどの口座か不明でトラブルに!
⭕️ 「〇〇銀行(口座番号123456)の預金500万円を長男●●が相続する」

不動産も「登記簿に記載のある正式名称」を書きましょう。

3. 形式を守る(特に印鑑)

遺産分割協議書は、押印のルールを守らないとトラブルの原因になります

必須ルール

  • 相続人全員の 署名・実印での押印 をする
  • 各自の 印鑑証明書(発行後3か月以内)を添付 する

特に実印を使わず認印で押してしまうと、銀行や法務局で受理されない可能性があるので要注意!

4. 遺産分割の方法を決める

遺産の分け方には、主に以下の方法があります。

  • 現物分割(例:自宅は長男、預金は次男)
  • 代償分割(例:長男が家を相続する代わりに、次男に500万円を支払う)
  • 換価分割(例:不動産を売却し、売却益を相続人で分ける)

財産の種類によって最適な分け方が異なるため、税金や将来の使い方を考慮しながら決めることが大切です。

5. 二次相続を考慮する

例えば、父親が亡くなり、母親がすべての財産を相続するとします。しかし、母親が亡くなったときに再び相続が発生(=二次相続)し、相続税の負担が増えるケースがあります

対策

  • 配偶者だけでなく、子どもにも一部の財産を分ける
  • 将来の相続税対策として、事前に専門家に相談する

一度の相続だけでなく、長期的な視点を持つことが重要です。

6. 遺留分を考慮する

相続には「遺留分」という最低限の取り分を保障する制度があります。
例えば、長男にすべての財産を渡す内容にしても、他の相続人が遺留分侵害額請求をすれば争いに発展する可能性があります。

遺留分の計算例(被相続人が父・相続人が母と子2人の場合)

  • 妻:相続財産の1/2
  • 子ども(各1人):相続財産の1/4ずつ

他の相続人の権利を無視しないことが、円満な相続のポイントです。

7. 公正証書にするか検討する

遺産分割協議書は基本的に私文書ですが、より強い効力を持たせるために、公正証書で作成するのも一つの方法です。

公正証書のメリット

  • 改ざんや紛失のリスクがない(公証役場に原本が保管される)
  • 裁判での証拠能力が高い(トラブル回避につながる)
  • 銀行・不動産登記の手続きがスムーズ

費用はかかりますが、後々の安心を考えると、検討する価値は十分にあります。

まとめ:7つの基本を押さえて安心できる遺産分割協議書を作ろう!

遺産分割協議書は、「とりあえず作る」のではなく、後々のトラブルを防ぐためのルールをしっかり押さえて作成することが重要です。

✅ 7つの基本ポイント

  1. 相続人全員の合意を得る
  2. 財産を明確に記載する
  3. 形式(押印・印鑑証明)を守る
  4. 分割方法を決める
  5. 二次相続を考慮する
  6. 遺留分を考える
  7. 公正証書にするか検討する

「これでいいのかな?」と不安な方は、専門家に相談するのもおすすめです。
大切な遺産を円満に分けるために、しっかり準備をしましょう!