💡 はじめに
「遺言書とは違う内容で相続人全員が納得したし、税金のことは大丈夫でしょ?」
…ちょっと待ってください!
遺言書と異なる遺産分割を行う場合、税務上のリスクが発生するケースがあります。
知らずに手続きを進めてしまうと、「贈与税の対象」「小規模宅地特例の不適用」「申告漏れ」など、思わぬ課税や追徴の対象になることも…。
この記事では、実際にあったケースを交えながら、遺産分割と税金の関係で気をつけるべき5つのリスクを解説します。
⚠️ ケース1:「本来もらうはずの人」が他の人に譲った場合、贈与税のリスク
📌 事例:
遺言書では「長男が不動産、次男が預貯金」と記載があったが、実際には兄弟間で話し合い、不動産を次男が取得した。
💥 リスク:
➡️ 本来の取得者(長男)からの「贈与」とみなされ、贈与税課税の対象となることがあります。
✅ 対処法:
- 単なる合意変更ではなく、「遺産分割協議」として正当性を整える
- 税理士や行政書士などの専門家に書面のチェックを依頼する
⚠️ ケース2:小規模宅地等の特例が使えなくなることがある
📌 事例:
同居していた長男が自宅を相続予定だったが、家族の希望で別の相続人に譲渡。
💥 リスク:
➡️ 自宅の評価額を80%減額できる「小規模宅地等の特例」が使えなくなる可能性あり。
✅ 対処法:
- 特例の適用条件(同居・居住継続など)を必ず確認
- 特例を適用したい場合は、遺産分割協議の内容を慎重に設計する
⚠️ ケース3:未分割のままだと特例や控除が適用できない
📌 事例:
全員の合意が取れず、遺産分割が未決定のまま相続税の申告期限(10か月)を迎えた。
💥 リスク:
➡️ 配偶者控除や小規模宅地特例など、重要な特例が使えず、多額の税負担に。
✅ 対処法:
- 分割協議が間に合わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出
- その間に分割を成立させ、後から特例適用の更正申請を行う
⚠️ ケース4:「特定の人に多く渡す」と相続税の負担割合に差が出る
📌 事例:
相続税は相続人ごとの取得額に応じて課税されるため、1人だけ多くもらうとその人だけ大きな負担に。
💥 リスク:
➡️ 相続税の負担が一極集中し、納税が困難になることも。
✅ 対処法:
- 相続税の総額と各人の負担額のシミュレーションを行う
- 不公平感を避けるため、代償分割や生命保険の活用も有効
⚠️ ケース5:名義変更や申告が遅れて「延滞税・加算税」が発生
📌 事例:
遺産分割の協議に時間がかかり、申告期限を過ぎてから名義変更・申告を行った。
💥 リスク:
➡️ 相続税の延滞税・無申告加算税・過少申告加算税の対象になることも。
✅ 対処法:
- 申告期限(被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内)を厳守
- 仮の内容でも期限内に一度申告し、後に修正する形も可
🎯 まとめ|税金面でも「合意」は慎重に!
遺言書と違う相続分割を選ぶこと自体は、相続人全員の合意があれば可能です。
しかし、それを税務署がどのように判断するかは別問題。
相続は民法+税法の視点で考える必要があります。
🧑💼 税金リスクを避けたい方は、専門家にご相談を
当事務所では、遺言書・遺産分割協議書の作成はもちろん、提携税理士と連携した相続税対策サポートも行っています。
「分け方を変えたいけど、税金が心配…」という方もお気軽にご相談ください。