✅ はじめに:「会社のことは書いてあると思ってたのに…」

「父の遺言があったから安心だと思っていた」
「まさか、会社について一言も書かれていないなんて…!

実はこのように、“遺言はあっても会社のことが書かれていない”というケースが意外と多く、
その結果、相続人間のトラブルや会社の機能停止に繋がることがあります。

この記事では、実際に起きた失敗例を交えながら、事業承継で見落としがちな遺言書の盲点を丁寧に解説します。

⚠️ よくある失敗例①:株式の記載がなく、兄弟で争いに

🧑‍⚖️【事例】

中小企業を経営していた社長が亡くなり、遺言書には不動産や預金の分配が明記されていたものの、自社株については一切記載なし

結果、相続人である兄弟3人がそれぞれ株を相続し、
✅ 経営方針が一致しない
✅ 社長の決定が通らない
✅ 株主総会が空転
といった事態に。

➡「父は長男に継がせるつもりだったんだろうけど…書いてないなら平等でしょ?」という主張で泥沼の争いに発展

⚠️ よくある失敗例②:後継者の指名がなく、社長不在に

🧑‍⚖️【事例】

遺言書に「長男に不動産、次男に預金」と記載はあるが、会社の代表者変更については未記載
相続人は会社に関わっていないため、誰が社長を継ぐか話がまとまらず、代表者不在で登記すらできない状態に。

➡ 結果、銀行口座が凍結され、給与も支払えない事態になってしまった。

⚠️ よくある失敗例③:「社長のつもりだった」第三者が登場

🧑‍⚖️【事例】

社長が生前「次はお前に任せる」と話していたという社員が、家族の同意を得ずに社長就任を宣言
しかし、遺言書には会社のことが書かれておらず、株の相続も別の親族に…。

➡ 社員と相続人との間で経営権をめぐる争いになり、最終的に従業員が大量離職。

🛠 なぜ「会社のことを書かない」遺言が多いのか?

  1. 会社は“自分のもの”ではないという誤解
    → 法人の資産ではなく「株式」や「役職」が相続対象になります。
  2. 会社のことは“口約束で伝えている”という安心感
    → 法的効力はなく、遺言書で明記しないとトラブルの火種に。
  3. プライベート資産と分けて考えてしまう
    → 不動産や預金は書いても、会社は“別枠”と考え、抜け落ちることがあります。

✅ 対策1:株式・経営方針・後継者を明記した遺言書を作る

会社に関する遺言書では、次のようなポイントを押さえることが重要です:

📌 自社株の相続先を明示
📌 後継者(代表者)についての希望を記載
📌 経営権や役員人事に関する意思表示

➡ 公正証書遺言にすれば、証拠力・実行力が高まります。

✅ 対策2:遺言書と一体で「経営承継計画」も用意を

法律だけでなく、実務面も考慮する必要があります。
そこで推奨されるのが、

✔ 社内外向けの「経営承継計画」
✔ 後継者への段階的な引継ぎ
✔ 株主構成の整理

➡ 専門家(行政書士・税理士・司法書士など)と連携しながら進めることで、スムーズかつ円満な承継が可能に。

🧩まとめ:遺言があるだけでは不十分!

✅ 遺言書があっても、「会社のこと」が書かれていなければ事業承継は進みません。

・会社=財産と認識すること
・株式・役職の承継も視野に入れること
・生前にしっかりと準備すること

これらが、家族も会社も守る賢い社長の相続対策です。