今回は、相続税対策としてよく話題になる「生前贈与」について、節税につながる基本的なポイントを5つに絞ってわかりやすく解説します。

「まだ相続なんて先のこと…」と思っている方こそ、今から少しずつ備えることが、将来の節税につながります
親世代の方はもちろん、ご家族で一緒に読んでいただくのもおすすめです。

目次

  1. 生前贈与とは?基本のおさらい
  2. 【ポイント①】年間110万円まで非課税で贈与できる
  3. 【ポイント②】住宅取得等資金の非課税制度を活用する
  4. 【ポイント③】教育資金一括贈与の特例も選択肢
  5. 【ポイント④】贈与の記録はしっかり残す
  6. 【ポイント⑤】早めに始めるのが節税のカギ
  7. まとめ:生前贈与は「計画的に」が節税の第一歩

1. 生前贈与とは?基本のおさらい

まずは、生前贈与について簡単におさらいしましょう。
生前贈与とは、「相続が発生する前に、財産を家族などに贈ること」です。

たとえば、お子さんやお孫さんに現金を渡したり、不動産の名義を移すようなことも生前贈与にあたります。

これをうまく活用すれば、相続時の財産総額を減らし、結果的に相続税を軽くできるのです。

2. 【ポイント①】年間110万円まで非課税で贈与できる

生前贈与の基本中の基本が、「暦年贈与」という制度です。

  • 毎年1月1日~12月31日の間に
  • 一人あたり110万円までなら
  • 贈与税がかからずに贈与できる

たとえば、親が子ども2人にそれぞれ110万円ずつ贈れば、220万円が非課税で移転できます。
これを毎年コツコツ続ければ、数年後にはかなりの額を節税できる可能性があります。

💡 ポイント:贈与された側がしっかり受け取って使えるよう、通帳や印鑑を分けて管理しましょう。

3. 【ポイント②】住宅取得等資金の非課税制度を活用する

もしお子さんやお孫さんが家を建てる・買う予定があるなら、住宅取得資金の非課税贈与が有効です。

一定の要件を満たせば、
なんと最大1,000万円(※)まで贈与税がかからないという大きな節税効果があります。

※適用される非課税枠は、住宅の性能や契約日などにより変動します。

💡 ポイント:贈与契約書の作成、資金使途の証明(住宅ローン契約書など)が必要です。

4. 【ポイント③】教育資金一括贈与の特例も選択肢

お孫さんがいるご家庭では、「教育資金一括贈与の特例」も検討の価値があります。

  • 祖父母 → 孫への贈与が対象
  • 最大1,500万円まで非課税(学校への支払い)
  • 信託口座などを通じて管理

ただし、贈与者が亡くなるときに残額が相続財産に加算されるケースもあるので、計画的な利用が必要です。

5. 【ポイント④】贈与の記録はしっかり残す

節税対策のつもりが、「名義預金」扱いで否認された」というトラブルも実際にあります。

そのため、贈与する際は以下を忘れずに。

  • 贈与契約書を作成する(簡単な書面でもOK)
  • 贈与した金額の出金記録を残す
  • 受け取る側が自由に使える状態であること

💡贈与契約書には、日付、金額、贈与者と受贈者の名前と印鑑を忘れずに。

6. 【ポイント⑤】早めに始めるのが節税のカギ

相続税の節税は、「時間を味方につける」ことがとても重要です。

年に110万円ずつでも、10年続ければ1,100万円を非課税で渡せます。
早く始めれば始めるほど、その効果は大きくなるのです。

逆に、「贈与したのが亡くなる直前だった…」という場合は相続財産に加算されてしまうこともあるので注意しましょう(相続開始前3年以内の贈与は加算対象)。

7. まとめ:生前贈与は「計画的に」が節税の第一歩

生前贈与は、相続税の節税において非常に有効な手段です。
ですが、ルールを理解せずに行うと、逆に税務署から指摘を受けることもあります。

節税のためのポイントをもう一度整理しましょう。

  • ✅ 年間110万円まで非課税(暦年贈与)
  • ✅ 住宅・教育資金の非課税制度も活用
  • ✅ 記録・証拠をしっかり残す
  • ✅ 早めに始めることで大きな効果
  • ✅ 制度を正しく理解して計画的に行う

ご家族での話し合いや、専門家への相談も早めに行うと安心です。
当事務所では、生前贈与に関するご相談も多数いただいております。
「わが家の場合はどうすればいいの?」と気になった方は、お気軽にご相談くださいね。